【仙ペン】「巨人キラー」が死語になる

スポーツ報知

◆JERA セ・リーグ 巨人2―0広島(31日・岐阜)

 「巨人キラー」という言葉。これって昭和の名残ですよね。「V9」に代表される一強時代。ジャイアンツからの白星は特別なものだった。

 それはG戦の通算勝利数を見れば分かる。カネやんに平松さん。山本昌さんに村山さん、星野さん、江夏さん…と上位に名を連ねるのは、レジェンド中のレジェンドばかりだ。勝つことが困難だからこそ勲章になる。それが巨人戦だった。

 今はどうだろう。その価値は、随分と暴落しちゃったのでは。誰でも勝てると言ったら何だけど「巨人キラー」が多すぎる。左腕で初顔合わせなら投げる前から「認定」だし、阪神の先発陣なんて「キラーじゃない投手」の方が少ない。

 この体たらくじゃ「巨人キラー」は「死語」になってしまう。歴史あるワードを守る方法はただ一つ。多すぎる苦手投手を減らしていくしかない。巨人が強くないと「キラー」だって輝けないよ。

 そんなわけで岐阜は長良川球場です。この地での広島戦というと、あのマイコラスを思い出す。2017年7月25日のゲームだ。8回途中2失点の好投もチームは1点差で敗れた。

 グッときたのは翌日の試合前の行動。当時の担当だったT記者によると、準備運動する広島ナインに、ベンチからずっとガンを飛ばしていたという。「悔しかったよ。負けることが一番嫌いだからね」―。

 そうか。今からでも遅くない。悔しかったら相手をにらみつけてみろ。「マイコ魂」で頑張ろうよ…とグラウンドに念を送っていたら、浅野がいきなりヒットで出塁。先制のホームを踏んだ。凜々(りり)しい眉の下のつぶらな瞳が、床田をロックオンしてた…かどうかは分からない。だけど怖い物知らずのガッツは伝わって来たぞ。

 しかも床田と言えば「巨人キラー」の中でも実績はトップクラス。実際に初回以降はビシッと抑えられている。出はなをくじく先頭打者安打がなかったら、どうなっていたことか。

 先週の阪神戦では現役最強の「巨人キラー」である伊藤将を攻略した。ポストシーズンへ向け、潮目が少しずつ変わってきたと信じたい。えっ、CSに出られるのかって? それはハマスタでの結果次第です。

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