まだ2か月先だが今年のア・リーグMVPはエンゼルス・大谷翔平投手で間違いない。注目されるのが2年ぶりの満票なるかだろう。満票2度となれば7度MVPを受賞した通算762本塁打のB・ボンズもできなかった史上初となる。
大谷の牙城を崩すとすれば、3割4分6厘の高打率で“隠れ首位打者”といわれているC・シーガー(レンジャーズ)だ。2度の負傷もあって計43試合も欠場しているが、30日(日本時間31日)時点で不足打席数は1。9月1日(同2日)のツインズ戦で4打席立てばトップに浮上する。打率だけでなく出塁率(シーガー・411、大谷・410)は大谷を上回り、長打率(大谷・661、シーガー・651)、OPS(大谷1・071、シーガー1・062)も遜色ない成績。ア・リーグ西地区優勝を目指すチームを牽引している。レンジャーズの地元記者がシーガーに入れるか、大谷に投票するのか注目される。
ただ、年間の規定打席502を早くもクリアしている大谷と違い、再び故障して規定打席に達しなかったらどうなるか。その場合は不足分を凡打として計算。その上で他の打者を上回れば首位打者となる。
過去、規定打席に満たずに不足分を計算してトップになった選手は2人いる。一人は通算8度の首位打者に輝いたT・グウィン(パドレス)。1996年、打率3割5分3厘ながら4打席足りなかった。ただ、その4打席を凡打と計算してもE・バークス(ロッキーズ)の打率3割4分4厘を上回るため、初の特例首位打者となった。
2012年8月にはM・カブレラ(ジャイアンツ)が薬物検査で陽性反応を示したため50試合の出場停止処分を科された。その結果、最終的に規定打席に1不足ながら打率3割4分6厘。不足分を凡打として計算してもジャイアンツの同僚B・ポージー捕手(打率・336)を上回っていたが、カブレラが自ら首位打者を辞退し、ポージーが繰り上がってタイトルを取った。
守備の要でもある遊撃を守るシーガー。大谷同様、成績を注視していきたい。(蛭間 豊章)