灼熱(しゃくねつ)の暑さは続いているが、日米の球界はシーズンの終盤を迎える。毎年開幕前には「シーズンは長いな…」と感じるが、始まってしまえばいろいろありながらもあっという間。3月のWBCで歓喜の瞬間を迎えたことは、つい最近の出来事のようにも思える。
メジャーリーグでは、プレーオフ争いが激化している。11年までは地区優勝以外で出場できるワイルドカードが1枠だったが、12年から2枠になり、昨季からは3枠になった。30球団中12チームが出場できるようになったことで、争いはより激しくなった。今季、日本人では藤浪のオリオールズ、前田のツインズは進出が濃厚。菊池のブルージェイズ、吉田のRソックス、鈴木のカブスが当落線上になっている。ワイルドカードシリーズからワールドシリーズまで約1か月行われるプレーオフ。世界中から大きな注目が集まる。
短期決戦となると、各球団はあの手この手を使って、目の前の試合に全力を注ぐ。時には、先発投手を中3日など間隔を詰めて起用し、先発投手を救援起用することも珍しくない。選手もシーズン中以上に力の入ったプレーを見せ、ど派手なガッツポーズあり、涙ありと感情をむき出しにする。
と、書けば書くほど、メジャー最高峰の舞台で大谷が出場したら、どんなパフォーマンスを見せるかは興味深い。3月のWBCでは、これまでに見たことのないような表情を見せて感情を爆発させていた。まだシーズンは1か月を残しているが、エンゼルスの進出はもはや絶望的。話題は、すでにオフにFAとなる大谷の動向に向けられている。
大谷は21年に「ヒリヒリするような9月を過ごしたい」、22年に「今日で終わってしまうのは不本意」と話すなど、強い思いを口にしてきた。待ち遠しい。二刀流男が大舞台へたどり着くまでの時間が、とても長く感じるのは私だけだろうか。
(MLB担当・安藤 宏太)