しのいで、粘って、心も体も太く、強くなった長田恭徳「きっとエンジンは良くなる。自分はできる。それをどこかで信じてやっていきます」…飯塚G1ダイヤモンドレース3日目準々決勝

スポーツ報知
準決勝戦進出を決めた長田恭徳

◆第66回ダイヤモンドレース(G1)3日目(27日・飯塚オート)

 業界有数の残業番長は、強い疲労感と深い安堵(あんど)感をにじませ切って、しみじみとこうつぶやいた。「しのいで、しのいで、何とかしのぎました。もう最近、ずっとこんな感じです。しのいでばかりで、疲れちゃいますよ…」

 その言葉通りに、長田恭徳はしのいだ。激闘をしのいで、ライバルにしがみついて、何とか準決勝戦メンバーのベスト32入りを果たした。

 準々決勝戦7R。混み合う車群を根性で切り抜けてゴールインは3番手だったが、トップタイムをマークして、セミファイナルへの道はギリギリつながった。

 ここしばらく、長田はエンジンの不調に悩まされ続けている。手は動かしている。長い時間を費やして懸命にメンテしているが、マシンはなかなか整わない。「正直、メンタルはきついです。もう、ズタボロですよ(苦笑い)。もっと言えば、気持ちが切れかけてしまう時もあります。でもね…」

 この後、長田はまるで改めて自身に言い聞かせるように、語気を強めて続けた。「ここで切れちゃったら、終わりです。今はエンジンが良くない。でも、また良くなった時、タイヤもしっかり用意できた時、その時は絶対に自分はやれる! そう信じて、今は働いています!」

 弟の稚也は、今、猛烈な勢いで成長を示している。記念レース制覇を期待されるトッププロスペクトに進化した。

 弟の飛躍に焦りがないわけじゃない。でも、今はその弟が救いの手をさしのべてくれる存在となっている。「同じ開催に出場している時はお互いに仕事の話はよくするようになりましたね。今回もマサヤにエンジンを掛けてもらったりしています。弟の存在は頼もしい? はい、そうですね(小さく何度もうなずく)」

 エンジン出しには苦悩している。でも、彼は今回も準決勝戦への出走チケットをなんとか握った。まだ時間はある。可能性は残されている。

 「自分、思うんですよね。もしも、最重ハンデになったばかりの5年ぐらい前だったら、今のエンジン状態で戦っていたら、たぶん予選で簡単にもれていたと思います。ここ2年ぐらいじゃないですかね。粘りが出て、車がだめな時でもギリギリしのげるようになったのは。また、きっとエンジンは良くなる。自分はできる。それをどこかで信じてやっていきますよ!」

 デビュー当時は線の細い、どこか頼りなさげだった若者が今、しぶとく、粘り強いレース屋になった。2023年の長田兄は、ひたすら頼もしくある。(淡路 哲雄)

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