◆第66回ダイヤモンドレース(G1)2日目(26日・飯塚オート)
8月22日の川口開催優勝戦で、山陽35期生の永島潤太郎が自身2度目のVを飾った。7月に1級車に乗り替わったばかりの気鋭は、あの森且行の猛追を悠々と振り切って、雨バトルを制した。
そんな永島は幼小の頃からオートレースの大ファンで、親に連れられては何度となくレース場へと足を運んでいたという。レースを観戦しているうちに、彼には大ヒーローが誕生した。それが有吉辰也だった。
現在、猛烈な上昇カーブを描き、初のSGタイトル制覇に突き進む中村杏亮もまた「自分は有吉さんの大ファンでした。そんな有吉さんと同じ飯塚に所属して、初めて一緒に食事に連れていってもらえた時の感動は今も忘れません。目の前に有吉さんがおるやん! 一緒に飯を食べとうやん! 夢じゃないやろうか~? とフワフワした気持ちになったものです」と教えてくれた。
そう、有吉の快走をスタンド越しから眺めていた少年たちは今、当時からの夢を叶えて、オートレーサーとなり人生を歩んでいるのである。多くの選手がいる中、なぜ彼らの多くは有吉に魅了されるのだろう。本人はひたすら穏やかに小さくほほ笑み続けながら、首を傾げていた。
「う~ん、それは自分じゃあわからないなあ。あっ、でも自分もオートレースの大ファンで小さい頃からレース場へ通って、選手になることを夢見続けてきましたからね。だからなんですけれど、自分はいつもバイクをきれいにして、格好いいところをファンに見てもらいたいという気持ちは強いのかな。ほら、子どもって、バイクのカラーリングとかそういうところに目がいくじゃないですか。そういうところは意識しています。これを見てください、今回もダイヤモンドレース用に新しいデザインにしてみました」
有吉が見つめるその視線の先には、ピッカピカに輝いた愛車があった。ダイヤモンドレースのタイトルにかける有吉の思いは強い。
「飯塚といえば、ダイヤモンドですからね。今はナイターですが、昔は真夏の滑りまくる走路で行われていましたよね。自分も縁あって何度か優勝させていただいていますが(08、09、11、12年の4度V)、やっぱり思い入れはある大会です。でもまあ、今は若い選手がどんどん出てきてくれて、自分はそれでいいと思っています。若手がガンガン頑張って、自分たちベテランも抵抗していく。そして、飯塚が盛り上がってくれたら、もうそれが最高ですよね。最近は、ファンサービスも若手が主導でやってくれて、本当に協力してもらっています。イベントやチャリティー、動画とか、若い選手たちが本当によくやってくれています。ありがたいですよね…」
飯塚場の支部長として、今もなお筑豊の大エースとして、有吉は様々な役割を担いながら、幼小より愛してやまないこのオートレースを戦っている。「最近はエンジンも安定してくれていますし、状態はいいですよ。ただ、跳ねが出ていることはちょっと気になるなあ。今回もフォーク、フレーム、セット、タイヤとかいろいろ調整はしています。跳ねがなければ、本当に楽しみなんですけれどね」
熟練の整備施術で愛車の跳ねを終息させた時、有吉は今夏も極上ダイヤモンドのように強烈に光り輝き、ファンの気持ちをウキウキと跳ねさせる。愛車とともにピッカピカに輝き続ける。(淡路 哲雄)