◆JERA セ・リーグ 巨人5―1DeNA(12日・東京ドーム)
チームが低迷していた5月の終わり頃(今もそうなんですけど…)。糸井重里さんがスポーツ報知の連載コラムで藤田元司さんの言葉を紹介していた。
何をやってもダメな時はどうすればいいのか? 糸井さんの質問に藤田さんは即答したという。「そういうときはあるよねぇ。守備練習をするんですよ」―。
球宴明けの巨人。プチ好調だった時期があったじゃないですか。その時、原監督は「守備力がこのところいいから」とコメントしていた。藤田さんに通じるモノがありますね。
両者の縁は深い。1980年のドラフト。もし藤田さんが抽選で原さんを外していたら。考えただけで恐ろしい。だけど、それ以上に運命を感じるのは「ポストON」ってこと。この重すぎる役目を背負わされたのは、藤田さんと原さんの2人だけだ。
そんなわけで巨人の連敗が止まった。だから、どうしたという話ではありますが、どんなミラクルも目先の1勝から。今季何度目かは不明ですが、再スタートです。
7月の月間MVPはダテじゃない。山崎伊が自身初の2ケタ勝利に王手。ブリンソンも頑張った。あの「史上最悪の確信歩き」で怒られて以降は、高校球児のようなひたむきさじゃないか。
そんな投打のヒーローを差し置いて何だけど、ここは我らが副キャプテンを持ち上げてみたい。吉川が再三の美技を披露。試合の流れを相手に渡さなかった。
広島の菊池にあって尚輝になかった唯一のもの。それはスピードや守備範囲の広さじゃない。「守りの勝負強さ」だ。ひたすらガムシャラに守る。それが以前の尚輝だったけど、今季は違う。勝負の潮目を読みながら、ここぞでギアを上げている。
岡本和が一発を量産しても戸郷が昭和投球で奮闘しても、そこには必ず波がある。その点、守りは計算が立つ。こんな時こそ吉川の守りから逆襲へ…まあ、今は何を言っても聞き流されそうですが。
それにしても、今季はいい勝負になりそうな気がする。ゴールデン・グラブ賞です。10年連続受賞という鉄壁の牙城を崩せるか。藤田さんや原さんが「ポストON」なら吉川の運命は「ポスト菊池」かも。