劇団新派の喜多村緑郎(54)と河合雪之丞(52)が、京都・南座の坂東玉三郎特別公演「怪談 牡丹燈籠」(27日・千秋楽)で存在感のある演技を披露している。
三遊亭円朝の落語を歌舞伎化したもので、人間の欲望の深さを描いた世話物。二枚目の浪人・萩原新三郎役に初役で挑む緑郎は「大好きな演目で物語の原因となる大事な役なので、しっかり演じていきたい」。料理屋の酌婦・お国を演じる雪之丞は「お国は2度目ですが、新鮮な気持ちで日々、前進する努力をしていきたい。憧れの大先輩である玉三郎さんと共演できるのも、うれしい」と意欲的だ。
一般家庭出身の2人は、3代目市川猿之助(現・市川猿翁)の下で歌舞伎俳優として修業を積み、現在は新派に軸足を置きながら、幅広く活躍している。緑郎は5月にテレビ朝日系刑事ドラマ「特捜9」に出演。現代劇のドラマは初挑戦だったが、軽妙な演技が好評で「新しい挑戦ができることは役者として幸せなこと」と感謝している。
雪之丞は7月に出演した新作歌舞伎「刀剣乱舞 月刀剣縁桐(とうけんらんぶ つきのつるぎえにしのきりのは)」が連日、大盛況だった。「生みの苦しみはありましたが、尾上松也さんを中心に役者とスタッフが思いを一つにワンチームでしたね。楽屋の雰囲気も良かった。もし再演があれば、ぜひ呼んでいただきたい」と願っている。(有野 博幸)