◆JERA セ・リーグ 巨人2―4DeNA(11日・東京ドーム)
巨人のドラフト1位・浅野翔吾外野手(18)がDeNA戦で待望のプロ初安打を放った。出場選手登録されて即「8番・右翼」でプロ初先発。5回の2打席目に東から左前に運び、通算5打席目でうれしい「H」ランプをともした。
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高松商時代の3年間、浅野を指導した長尾健司監督(53)が、教え子の記念すべき初安打を喜んだ。
「ちょっと、いつもより緊張しているように見えたけど初ヒットが出て良かった。しっかり振っていたからね。2000本まであと1999本頑張ってほしい」
衝撃的だった。入学最初のフリー打撃。高松商のグラウンドは左翼約95メートルで、外野フェンスの代わりに高さ約20メートルの防球ネットが張られている。打球はそのネットを軽々と越え、奥の建物にぶち当たった。推定140メートル弾だった。
「入学した時からすごかった。指導してきて見たことない打球でした」
1年夏から試合に出場し、実力は抜けていた。それでも特別扱いはしなかった。2年春の県大会で敬遠された際、不満をあらわにした浅野に、巨人などで活躍した松井秀喜氏を引き合いに出して指導した。
「松井さんみたいな一流の選手は5打席連続敬遠でもバットを静かに置いて塁に向かって、ベンチに戻っても声を出して仲間を鼓舞していたよ。それがチームプレーなんじゃないか、と話しました」
2年夏の大会後、新チームのキャプテンに任命すると、責任感が芽生え成長は加速した。
「一番うまい選手が一番働いて、引っ張って、声を出してやらないといけないと伝えたら、キャプテンになってからグラウンドに一番に来て準備してました。後を継いだ主将も一番に来ていて伝統が根付きました」
3年間、指導してきたからこそ底知れない可能性を理解し、今後の活躍に期待を寄せている。
「左打席もすごいからプロでも挑戦してみてほしい、とひそかに思ってます。これからは相手チームに浅野に回したらヤバいと思われる選手になってほしいです」