◆自転車トラック種目世界選手権 最終日(9日、英国・グラスゴー)
男子ケイリンで、初出場の中野慎詞(24)=日本競輪選手会=が銅メダルをつかんだ。同種目での日本勢のメダルは、20年大会銀の脇本雄太以来で3年ぶり。日本発祥の種目に勢いのある新鋭が現れた。24年パリ五輪では08年北京大会銅の永井清史以来となる日本勢のメダル獲得を狙う。太田海也(24)=日本競輪選手会=は7~12位決定戦で8位だった。
新鋭が大舞台で快進撃だ。同日の準々決勝、準決勝ともに2位で勝ち進んだ。決勝は最後尾で最終周に入ったが「もういくしかない。メダルが欲しいと思って全開で踏んだ」と勝負をかけた。最後の直線で追い上げ、1つ前の選手を差し切った。東京五輪代表の脇本以来となる日本勢の表彰台。「金ではないが、初出場で銅メダルを取れてうれしい」と笑顔がはじけた。
雪国の岩手出身で、中学まではアルペンスキーに熱中した。自転車競技は高校から始め、持ち前の脚力を生かし、一気に才能は開花した。早大2年時にナショナルチーム入り。21年には日本競輪選手養成所に入所し、早期卒業すると昨年1月のデビューから歴代最多を更新する30連勝を飾った。
24年パリ五輪では日本発祥種目のケイリンで4大会ぶりのメダルに期待が懸かる。86年に10連覇し「世界の中野」とたたえられた中野浩一と同姓の24歳は「あと2つ上。絶対に取ろう」と金メダルへの飛躍を誓った。
◆中野 慎詞(なかの・しんじ)1999年6月8日、岩手・花巻市生まれ。24歳。紫波総合高で競技を始め、早大4年時の21年に日本競輪選手養成所に入所し、早期卒業。昨年1月のデビュー戦以降、30連勝を記録。ケイリンでは19年全日本選手権2位。今年3月のネーションズカップ第2戦のエジプト・カイロ大会で金メダル。176センチ、83キロ。好物はすし。