◆JERAセ・リーグ 巨人2―1ヤクルト(3日・東京ドーム)
「チームが勝てばそれでいいかというと、全然そんなことはない」―。ご存じイチローさんです。並の選手じゃ言えないよ。
野球というものは間違いなく団体競技。でも、それは個人の勝負の積み重ねでもある。プロたる者、「オレが、オレが」の心意気だけは胸に刻んでおきたい。
そんなわけで「個人より巨人」は真実。だけど、本日に限っては「個人より巨人より戸郷と和真」と言いたくなる。よく大谷は漫画でも描けないと言われるけど、こっちは漫画そのものだ。みんなが読みたかった王道ストーリーです。
最終回の戸郷コール。グッときたというか、震えてきた。志願の完投か。中川に託したほうが安全だったかもしれない。イチローさんじゃないけれど、単に勝てばいいとは考えていなかったんだろうな。
1日の試合で菅野が8回1失点。あっちが大先輩なら、こっちは大後輩だ。負けないよ。最後まで投げ切ってエース争い下克上…すいません、ワケの分からない妄想が止まらない。
和真だってそう。2回の最初の本塁打。「イニングの先頭打者なので塁に出ることだけを…」と殊勝にコメントしてたけど、ホントかな。
この人だって少し前までは、プチスランプ。秋広がヒーローになった7月30日の中日戦なんて、あんまり面白くなかったかも。
ところで、その秋広。初めてのスランプを絶賛経験中です。これもレギュラークラスの特権だ。チームの中に居場所を築いていない人には、不振を味わう時間も機会も与えられない。
まだチームの勝ち負けに責任を感じたりする必要はないんだから。ここは自分のためだけに悔しがってください。先輩たちも通ってきた道。岡本さんだってそうだった。
ブレイクを果たした2018年シーズン。順調に結果を出してきたバットが夏場に入り突然、湿りだした。32打席ノーヒット。しかも、4番に座り続けての数字だ。秋広の何倍もキツかったと思う。
それにしても、これで球宴明けは8勝3敗。口を酸っぱくして言うけど、大事なのはナイスゲームの後ですから。戦いは広島へ。ノルマはビッグモーターよりもキツい3タテです。