高校通算140本塁打を誇る花巻東(岩手)の佐々木麟太郎内野手(3年)が31日、自身の聖地1号にこだわらず、チーム打撃に徹する考えを示した。第105回全国高校野球選手権記念大会(6日から17日間)出場49校による甲子園見学がこの日、スタート。同校がトップで、大会屈指のスラッガーは「記録は意識していないし、チームが勝つために身を挺(てい)したい。それは3年間、変わっていない」と勝利優先を強調。打席や一塁で土の感触などを確認し「イメージが湧いた」と好感触だ。
1回戦で市和歌山に敗れた昨春センバツ以来の聖地で“見えない敵”も警戒する。「(30日に)関西に乗り込んでから暑い。東北も夏は暑いが、湿度はこっちの方があり、暑さが違う。水分を取るとか熱中症対策をしっかりしていかないと」。小さい頃から、父・洋監督(48)が率いる花巻東の応援で夏の甲子園は何度も訪れるが、選手では初体験。アウェーの暑さとも戦う。
昨夏は同じ東北勢の仙台育英(宮城)が初V。「刺激をすごいいただいたが、先を見据えることなく、一戦一戦勝ち抜く。岩手代表として、思いを背負って戦いたい」。大谷翔平や菊池雄星といったメジャーリーガーの先輩たちも成し得なかった甲子園初Vへ向かって、あえて麟太郎は一発を狙わない。(田村 龍一)