宝塚歌劇花組「鴛鴦(おしどり)歌合戦」の新人公演が27日、兵庫・宝塚大劇場で上演された。
第104期の6年目・天城(あましろ)れいんが新人公演初主演。昭和の時代劇スター・片岡千恵蔵さんが主演した和製ミュージカル映画(1939年公開)の舞台化で、貧乏暮らしの浪人・礼三郎役に挑んだ。礼三郎は自己主張が強くなく、熱演する役柄ではないが、しっかりとした芝居で存在感を示し、着流し姿や涼しい目線で男の色気を表現した。
天城はカーテンコールで「明るくコミカルなこの作品から、たくさんのパワーをもらいました。このような機会をいただき、貴重な経験になりました」とあいさつした。
トップスター・柚香光(ゆずか・れい)からは「本番は楽しむことを目標にやっておいで」と言葉をかけられたといい「とても勇気づけられました」。劇中では「人生で初めて」という客席下りも経験。「お客様が近くてドキドキしました。銀橋、舞台からでもちょっとした反応や大きな拍手に温かいものを感じて幸せな時間でした」と初主演を果たした喜びをかみしめた。
礼三郎に心を寄せる長屋の隣人・お春は、天城より1期上の7年目・朝葉ことのが務め、公演の最上級生としてメンバーを引っ張る長(リーダー)も兼任した。バウホール初ヒロイン作「殉情」(2022年)の春琴役に続く日本物だが、今回はコメディーセンスも発揮して笑いをさらった。「舞台げいこでは(幕開きの)チョンパ(=暗闇からの明転)からライトがまぶしくて目がくらんでしまったんです。これを毎日、本役さんがされているなんて。真ん中を取ることの難しさを学ばせていただきました」と話していた。
また、本公演で2番手に昇格した永久輝(とわき)せあが演じる藩主・峰沢丹波守は5年目の美空真瑠(みそら・まる)が担当。定評のある伸びやかな歌声を生かし、表情豊かに、物語をドタバタに巻き込む“バカ殿”を明るく演じた。
東京宝塚劇場での新人公演は9月14日。