◆JERA セ・リーグ 阪神4―2巨人(25日・甲子園)
原監督は言葉の人だ。硬軟織り交ぜたコメントで選手を、報道陣を自由自在に操る。時には容赦のない口激も辞さなかった。伝説になったワードもある。
標的にされたのはエースの内海さんだった。2009年のWBC。日本代表では国際球の対応に苦労したが、本当の試練は帰国後に待っていた。開幕から7戦白星なし。指揮官からは傷口に塩的なキツいセリフが浴びせられた。
「今のままではニセ侍だね」―。当初、内海さんはメディアが勝手につけたレッテルだと思っていたという。「本当のことを知ってショックでしたね」。しかし、ここからが一流の一流たるところ。後半戦から本領を発揮。さらに翌シーズンから4年連続で2ケタ勝利をマークし、最多勝も2度獲得した。
さて最近はめっぽう優しい原監督だけど、それはそれ。何げない言葉にエグさが潜んでいる。「長打がたまに欲しいな」。これ、交流戦終了時の秋広への評価であり注文です。
確かに交流戦での長打は1本だけ。でも、その時点で打率3割2分1厘、4本塁打という申し分のない数字を残している。というか3番に座って奮闘する20歳にかける言葉か。優しく褒めるだけでいいじゃない。
問題はその1か月後、つまり現在の成績だ。「長打がたまに…」どころじゃない。4試合連続を含む6発で、あっという間に2ケタ本塁打をクリアした。内海さんもそうだけど、秋広も偉いぞ。いや、それも原監督はお見通しか。乗り越えられる者にしか…という例のアレです。
そんなわけでナイスゲームのあとは気をつけろ。今季は好事魔多過ぎる巨人です。前回の登板では初回持たずにKO。伯父さんのマネをして「ニセ菅野」とか適当なことを書いてしまった。こういうの「言って良い人と悪い人」がいる。もちろん前者は原監督で後者が「ニセ記者」です。もう何も言わない。静かに「圧倒の投球」を待つだけだ。
連勝はあっけなく止まったけど、悪いことばかりじゃない。岡本和に久しぶりのアーチが飛び出した。秋広もお得意のマルチ安打だし。そして今季初登板の堀田。いきなりシンドイ場面での起用はベンチからのゲキだ。乗り越えてくれ。