フィリピンパブ嬢と結婚した筆者がつづる夫婦生活や子育て…中島弘象著「フィリピンパブ嬢の経済学」

スポーツ報知
中島弘象さん

 ライターの中島弘象(こうしょう)さん(34)が「フィリピンパブ嬢の経済学」(新潮社、902円)で、かつてフィリピンパブで働いていた妻のミカさんとの夫婦生活や子育てについてつづっている。2児の父になった中島さんだが、ミカさんとの結婚は「想像できなかった」と話す。(太田 和樹)

 大学院で国際関係を専攻していた中島さんは2011年7月、研究のために入った名古屋市内のフィリピンパブでミカさんと知り合い、交際に発展。それから4年、ミカさんから結婚を切り出されたが、中島さんは当時無職で“ヒモ同然”の身。これが気にかかっていたが、「そんなことは関係ない」と押されミカさんの一言で15年10月に結婚した。

 「フィリピンパブで出会った女の子と付き合うことはあるかもしれないということはなんとなく思っていました。それがまさか結婚することになるなんて。2~3か月で別れると思っていましたし、研究の足しになればいいなと思って付き合ったので」

 その後、17年に長女が、20年には次女が誕生。フィリピンで育てるという選択肢もあったが、ミカさんの希望で日本で子育てをすることになった。

 「第一歩は幼稚園。子どもを通じて妻も母になり、お友達のお母さんとのやりとりもしています。日本で生まれ育っていないのでハンディキャップを背負いながら分かんないこともあると思うんですけど、日本での子育てに慣れてきたのかなって感じですね」

 一方の中島さんは「どこの家庭も一緒かもしれないですが幼稚園のいろんなしきたりが分からないことが多い。運動会とか一緒に行くと、妻はあいさつする人がいっぱいいるけど僕はぽつーんと。そんな感じですね」。

 ここだけみればよくある幸せな家族の話だが、タイトルは「フィリピンパブ嬢の経済学」。多くのパブ嬢は、経済的な豊かさを求めて日本にやってくるが、問題もある。例えば日本からフィリピンへの送金だ。

 「送金は経済的にも大変ですし、フィリピンの家族ともめる原因にもなります。今は妻の家族の経済状況も良くなったので、送金はなくなりましたが、これが永遠になくなるかといえば分からないですね」

 送金の話をすれば「フィリピン人と結婚するのは良くない」とか「苦労する」と言われることもあるというが「経済格差がなければ僕たちは生まれていなかった夫婦。なので送金というのは付いてくるもの。向き合わなければいけないものですが、それ以上に楽しいことの方が多い。フィリピンに行く時も観光地ではなく、一般的な家庭に行くっていうなかなかない経験ができますからね」と前向きだ。

 だが、何よりも中島さんが危惧するのは、ミカさんに日本の永住権がないこと。過去に申請もしたが、通らず、ミカさんは今も配偶者ビザで日本に滞在している。トラブルなどでビザの更新ができなかった場合は日本にいることができなくなる。

 「そもそも妻が一緒にいれなければ家族は離ればなれになってしまう。お金は稼げば何とかなりますけど、妻がいないとどうしようもない。家族がバラバラになる可能性が0・1%でも0・00001%でもあるのは不安ですね」。それまで明るかった表情が少しくもった。

 ◆中島 弘象(なかしま・こうしょう)1989年1月24日、愛知県生まれ。34歳。中部大大学院修了。前作の「フィリピンパブ嬢の社会学」は近く映画化も予定されている。

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