◆女子W杯▽1次リーグC組 ザンビア0―5日本(22日・ハミルトン)
なでしこジャパンはザンビアを5―0で下し、大勝で白星発進を飾った。1―0で迎えた後半に大量4得点を奪った。
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素晴らしいパフォーマンスだった。個々のプレーはもちろんのこと、組織として「裏に蹴る時間」「丁寧につなぐ時間」の意思統一がしっかり共有できており、相手の強みを見事に消した。シュート数は26―0。自信を深めるという意味でも収穫の多い90分だった。得失点差で「+5」を稼いだ点も大きい。
短期決戦は内容より結果。辛勝も大勝も、あるいは惜敗も大敗も同じ。まずは勝ち点3を取れたことが全てだ。
その上で、「内容より結果」という観点で言えば、あの素晴らしい内容の前半に1点止まりとなったことは物足りなかった。
ハーフタイムに相手がこれといった修正を施せなかったこともあり、結果的にゴールラッシュが生まれたが、今後対戦していく強豪国を相手にした際は、こうはいかないかもしれない。
男子のカタールW杯1次リーグ初戦で、ドイツは森保ジャパンを序盤から圧倒した。1―0で折り返し、ドイツ人に限らずほどんどの視聴者がドイツの勝利を確信したはずだが、後半に3バックに変更した日本に慌てふためき、2点を奪われて敗れた。この上ないパフォーマンスだった前半に1点止まりとなったことが響く結果となった。
相手の実力を差し引いても、なでしこジャパンの「チーム力」は21年東京五輪の時と比べ、あらゆる面で向上していることは確実だ。強豪国と相対しても、ある程度は戦えることは間違いない。
だからこそ、“ドイツパターン”もあり得たことは教訓としたい。あの試合を勝者の立場として経験した日本人なら、なおさら。
あの守備意識の両サイドバック、必要以上に壁に枚数を割き、中が手薄になるセットプレー守備、反射神経以外の対応面で課題も多かったGKを相手にするならば、前半だけで試合を決めたかった。
「これだけ出来るなら」という視点に立った上での“小言”にはなるが、勝って兜の緒を締めて、今後のコスタリカ戦とスペイン戦、決勝トーナメントに向かいたい。(岡島 智哉)