【愛知】享栄の152キロ左腕・東松快征は頭脳も江夏級 3安打完封で2戦14回0封…担当記者が見た

享栄の東松投手
享栄の東松投手

◆第105回全国高校野球選手権記念愛知大会 ▽4回戦 享栄3―0愛産大工(21日・パロマ瑞穂)

 愛知では、最速152キロ左腕で今秋ドラフト候補に挙がる享栄・東松快征(とうまつ・かいせい)投手(3年)が、愛知産大工を被安打3、奪三振9、3四死球でシャットアウトして5回戦に駒を進めた。「無失点」を目標に掲げ、初戦から14イニング連続で「0」を並べる剛腕の意外な投球術を、浜木俊介記者が「見た」。

 東松は、この日最速の149キロを初回のマウンドでマークした。プロも注目する愛知産大工・天野京介投手(3年)との投げ合いに気合十分。3つのアウトは、全て空振り三振だった。

 “愛知の江夏”と呼ばれ「真っすぐで三振の山を築きたい」と豪語するだけに、9三振は驚く数字ではない。特筆すべきは、内野ゴロでのアウトが実に10個を数えたこと。真っすぐを丁寧に低めに集め、凡打の山を築いた。

 本家・江夏も現役時はボール1個、いや半個の絶妙な出し入れで打者を手玉にとった。「この前の試合(3回戦・旭野戦)では、高く抜ける球が結構あった。低めに強い球を、と意識して投げたのでよかった」。5回無失点ながら「0点」と反省した登板を踏まえ、確実に修正した。担当の中日・清水スカウトは「力で押すだけでなく、取りたい時にアウトを取れていた」と“江夏級”のクレバーさに感心していた。

 6回あたりから左足がつりかけたが、124球を投げ抜き、スコアボードに9つの「0」を並べた。「気持ちいいですね。でも、野手やサポートしてくれる仲間がいるからこそ。勘違いしないようにしたい」。心の成長もうかがえた。

 試合後、大藤敏行監督(61)は「球は速い。力はある。だけど、勝てるピッチャーじゃないと言われていたが、勝てる投手になってきたのかな」と話した。最後の夏。「これまで、僅差で負けることが多かった。勝てる投手になる」と心に決めた東松にとって何よりの褒め言葉だった。(浜木 俊介)

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