「山利喜」の煮込みは甘さ控えめ王道の味 トロトロの舌触りを梅チューハイと共に味わう

スポーツ報知
「山利喜」の煮込みとガーリックトーストと梅チューハイ

 尊敬する先輩記者と月に1回のペースでパチンコ&飲み会を開催している。場所は先輩の母校・早大がある東京・高田馬場。毎回、昔話に花が咲き、楽しい時間を過ごしている。面倒見のいい先輩だが、空気を読まない発言が多いことが唯一の欠点でもある。

 先月の事である。私を見るなり「お前、太ったな」。私は医者から「減量するように」と厳命され、食事制限をしている毎日。週2回の禁酒日も設け、必死の努力を続けているものの、座骨神経痛の再発による運動不足が減量の妨げになっている。ストレスを抱えている身にとっては無神経すぎる一言。温厚な私も「その言い方はないじゃないですか」とさすがに声を荒げてしまった。

 帰宅しても怒りは収まらなかった。女房に詳細を説明。そして「今度、会ったら『お言葉ですが、先輩のへアースタイルもさみしくなりましたよね』と言ってやるよ。若い頃、一緒に出張に行った時、いつもホテルの部屋の片隅でヘアブラシを使って頭を叩いていたからね」と言った。しかし、女房の反応は冷めていた。「70歳台と60歳台がなんてくだらないケンカをしているの。みっともない」。冷静に考えると、確かにその通りである。

 という訳で今は大相撲の取材で名古屋に来ている。出発前、下町の味を忘れないために東京・森下の「山利喜」に顔を出した。このコラムではおなじみの“東京三大煮込み”の一角を占める名店中の名店でもある。

 午後5時の来店。カウンターの角に案内され、外を眺めると太陽の残り火が輝いていた。「明るいうちの酒はおいしい」とはよく言ったものだ。大好きな梅チューハイがスイスイと胃の中に吸い込まれた。

 甘さ控えめの煮込みは王道の味。モツは口の中に入れたらほどける柔らかさ。“トロトロ、トロトロ、となりのトトロ“と歌いたくなるほど。一緒にガーリックトーストを注文するのがベスト。トーストに残り汁をつけて食べるとビーフシチューに様変わり。田村亮子さんの「田村でも金、谷でも金」という名言を借りるなら「冬でも煮込み、夏でも煮込み」である。

 帰京は24日以降。翌日には「山利喜」の大きな提灯の前で開店を待つつもりだ。

 ◆煮込みの「山利喜」 北千住の「大はし」、月島の「岸田屋」と並ぶ“東京3大煮込み”の雄。創業は1925年(大正14年)。店名は初代の山田利喜造さんから由来している。1945年(昭和20年)の東京大空襲で建物は焼失、初代も命を落としてしまったが、長男の要一氏さんが再建。煮込みと焼きとんは現在まで続く看板メニューになっている。

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