ラグビーW杯フランス大会(9月8日開幕)に向けて宮崎合宿中の日本代表の足元は、入念に整備されたグラウンドが支えている。宮崎市内の施設は主に使う施設は今年4月に供用が開始されたばかり。管理する西藤真二所長は合宿が始まった当初、少し不安を感じながら練習を見守った。
ラグビーチームを受け入れるのは自身のキャリアで初めてのこと。「火曜日に1番激しい練習をすると聞いていたので…」17ミリに刈り揃えられた芝は練習後も激しく剥がれることはなく、天然芝と人工芝を混ぜたハイブリッド芝エリアで行われたスクラム練習でもめくれなどはなかった。「痛んだ芝は上部だけで床土は大丈夫。残りの期間もこれならいけそう」と胸をなでおろした。
主に練習するグラウンドには天然芝の国際的登録品種「ティフトン419」が使われ、隣接する多目的グラウンドはハイブリッド芝の「シスグラス」が敷かれている。常設のクラブハウスには東京五輪・パラリンピックの選手村ビレッジプラザ使われた木材が再利用されている。これまで使用していた施設は天然芝グラウンド1面のみでジムなど周辺施設は仮設だった。2008年から日本代表で活動するリーチ・マイケル(BL東京)は新施設を「新しい施設ができて本当に快適。最高です」と絶賛している。
W杯本番は全会場がハイブリッド芝を使用する。日本とは土壌が異なることから、フランス国内リーグ、トップ14のクレルモンでプレー経験のあるFB松島幸太朗(東京SG)は「芝がぬめっとしている」と独特な表現をする。1次リーグ2試合を戦うトゥールーズのスタジアムで行われた昨年11月のフランス戦では、最初のスクラムで芝が大きくめくれ穴が空いたような状態になった。「日本のような万全の芝管理は望めないだろう」と話す関係者もいる。W杯本番では適応力も試されるが、まずは最高の環境で足固めをする。(大和田佳世)