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【こちら日高支局です・古谷剛彦】「セレクトセール」3億3000万円のコントレイル産駒は日高地区牧場上場馬の史上最高落札額

スポーツ報知
「バイバイベイビーの2023」(C)Japan Racing Horse Association

 サンデーサイレンスのラストクロップが上場された03年、前年の売却総額を約16億円を上回り、初めて70億円(金額はすべて税別)を突破した。サンデーサイレンスとともに成長したセレクトセールに、サンデーが全くいない04年は、ポスト・サンデーサイレンスがどの種牡馬になるのか注目され、独特の雰囲気があった。その中で、最高価格を記録したのがダンスインザダーク産駒の4億9000万円で、売却総額も前年を約6億円上回り、レコードを塗り替えた。カオスになるが故に、どの種牡馬にもチャンスが生まれ、競り合いが活発になることを示した。その後、最高価格をマークする種牡馬はシンボリクリスエス(05年)、キングカメハメハ(06年)、クロフネ(07年)と目まぐるしく変わった。06年から1歳セッションが8年ぶりに復活し、2年連続で持ち込み馬が最高価格となり、その後はアグネスタキオン(08年)、クロフネ(09年)と続き、ポスト・サンデーサイレンスがなかなか見つからない状況を示していた。しかし、当歳セッションは09年、1歳セッションで10年にディープインパクトがトップに立った時、新たな時代のリーディングサイアーを予感させた。また、キングカメハメハも11年1歳セッションで最高価格を初めて記録し、非サンデーサイレンス系種牡馬のトップとして君臨。ディープインパクト、キングカメハメハの2強が、その枝葉を伸ばすとともに日本の競馬は確実にレベルアップしていく。その流れのなかで、ハーツクライ、ステイゴールドも負けずに、セレクト取引馬から世界に通用する馬を送り出し続けた。

 ラストクロップとなるドゥラメンテは、1歳セッションで14頭完売で、14億6700万円が取引された。2億1000万円で取引された「ドナブリーニの2022」(牝)は、セリ名簿で母の欄だけで1ページが埋まるほど優れた牝系。セレクトセールにおいて、「牝馬はお得」という感覚はここ数年なくなったが、競走を終えた後の繁殖牝馬としての価値も加味すれば、当然の評価と言える。

 そして、当歳セッションで20頭がラインアップされたコントレイルは、軒並み驚くばかりの高額取引馬を送り出した。1歳も合わせて最高価格となる、5億2000万円で落札された「コンヴィクション2の2023」(牡)は、母がアルゼンチンG1ウィナー。「バイバイベイビーの2023」(牡)は、母が愛G3ウィナーで、愛オークス4着の実績を誇る。英ダービー馬・サーペンタインなど活躍馬多数のファミリーに、コントレイルとのカップリングは、日高地区の牧場が上場したなかでの史上最高額を樹立した。当歳市場のない日高地区では、日高の生産者もセレクトセールに超良血馬を上場する。ノースブリッジの半弟「アメージングムーンの2023」(牡、父キタサンブラック)は、1億9000万円で取引され、村田牧場の皆さんも笑顔にあふれていた。コントレイル、キタサンブラック、エピファネイア、ドゥラメンテ、キズナが特に目立ったものの、他の種牡馬たちも高額馬を送り出しており、まだディープインパクトやキングカメハメハ、ハーツクライに代わるリーディングサイアーは混沌としている印象を受ける。競馬の奥深さが詰まった市場だった。(競馬ライター)

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