◆第105回全国高校野球選手西東京大会▽2回戦 国学院久我山14―2=5回コールド(9日・小野路GIONベースボールパーク)
投打二刀流で注目される木津寿哉(3年)が、「3番・左翼」でスタメン出場した。
球場が一瞬の静寂に包まれた。初回、1死二塁の場面で高々と上がった打球は右中間フェンスを越えた先制2ラン。打球の行方を確認すると、木津の口元は緩んだ。
巨人、DeNA、中日、3球団のスカウトの前での一発。打った瞬間は「『入るかな』と思いながら走っていた」。14安打14得点の猛攻の口火を切った。
現在は試験期間中。この日球場に向かう電車の中でも試験対策をしていた。父・博昭さん(50)と母・奈々さん(49)は口をそろえて、「隙間の時間を見つけて、きちんと勉強と練習でわけられる子」と誇らしげに語った。
試合前日、うれしい声援が届いた。今春のセンバツで優勝し、駿台学園中の軟式野球部でチームメートだった山梨学院・林謙吾投手(3年)から電話で「『頑張れよ』と伝えられた」と笑みがこぼれた。
中学時代、2回全国大会の出場権を獲得するも新型コロナの影響で2度とも中止。この経験をしているだけに、仲間と勝ちたいという思いがあふれている。
3打数2安打3打点の活躍で、チームの白星発進を引き寄せたが、これで満足ではない。戦友と”聖地”甲子園で対戦するまで負けられない。(高橋 真央)