東北唯一の競走馬市場である「八戸心市場」が4日、青森県の八戸家畜市場で開催された。昨年の取引馬で、ミライヘノメグミ(牝2歳、北海道・松本隆厩舎)は新馬勝ちを収め、続くウィナーズチャレンジ2でも2着に健闘した。また、19年取引馬から、21年不来方賞を制したマツリダスティール、17年取引馬には21年高知県知事賞を優勝したグリードパルフェがいる。近年の少ない上場馬の中から、地方競馬の活躍馬が出ていることから、初めて訪れた方や、数十年ぶりに八戸市場に足を運んだと話す関係者もいた。九州、東北の市場がにぎわいを見せることは、競馬の盛り上がりにもつながる。
42頭が上場され、売却率は59.5%と前年を5.2ポイント上回った。売却総額は8300万円(金額はすべて税別)と、昨年より640万円減だったが、2年連続で8000万円を上回り、主催者は安どの様子を浮かべていた。最高価格は、ショウリダバンザイの2022(牝、父タワーオブロンドン)の1250万円で、神奈川県馬主協会KAJIMOTOホールディングス(株)が落札した。半兄に20年平和賞を差し切ったマカベウスなどがいる。母のショウリダバンザイは、10年浦和桜花賞やロジータ記念など地方重賞7勝を挙げた女傑。この世代が初年度となるタワーオブロンドン産駒で、父に似た筋骨隆々の馬体は、多くの関係者の目を引いた。牡馬の最高価格は、テネシーワルツの2022(牡、父ミッキーアイル)の1050万円で、(有)ビッグレッドファームが落札した。
「中央、地方ともに売り上げが伸び、全日本的なダート競馬の整備も進むことで、競走馬の売れ行きも良くなっています。何とか上場頭数を50頭に揃えたかったんですが、昨年並みの売り上げを記録できたことは良かったと思います」と、青森県軽種馬生産農業協同組合の山内正孝組合長は振り返っていた。
来週はいよいよセレクトセールが開催される。この1年間、1歳市場取引馬からアスクビクターモア、ジャスティンパレス、ジュンライトボルト、ドゥラエレーデ、ノットゥルノ、デルマソトガケ(以上が1歳取引馬)、ウシュバテソーロ、ヴァレーデラルナ(この2頭は当歳取引馬)がG1(Jpn1を含む)馬に輝いた。世界も熱い視線を注ぐセレクトセールは、今年も右肩上がりの成績となるのか注目される。(競馬ライター)