Twitter facebook Instagram YouTube

花組・柚香光、とかく浮世はままならぬ「色気」「抜け感」モテ侍…「ほおを緩めてご覧いただけると」…「鴛鴦歌合戦」7・7開幕

スポーツ報知
「着流しにげたばき、大好きです」と芝居の衣装も楽しんでいる宝塚歌劇花組トップスター・柚香光(カメラ・岩田 大補)

 宝塚歌劇花組トップスター・柚香光(ゆずか・れい)が、伝説の銀幕スター・片岡千恵蔵が1939年に出演した娯楽映画の舞台化に臨む。7月7日に兵庫・宝塚大劇場で開幕する「鴛鴦(おしどり)歌合戦」は和と洋が融合したオペレッタ時代劇で「あったかい作品。ほおを緩めて、口角を上げながらご覧いただけるとうれしいな」と、ほんわか口調でアピールする。ショー「GRAND MIRAGE!」と併演で送る。(筒井 政也)

■84年前の映画がベース 「伝統は永遠の流行」なる名言を実感しそうな2本立てに、来たる梅雨明け後の宝塚でカラッと明るく挑む。「鴛鴦」は「日本映画の父」牧野省三の息子・マキノ雅弘(当時・正博)監督の84年前の映画がベース。長屋住まいの浪人・礼三郎(柚香)と隣家の娘・お春(星風まどか)の恋模様をコメディーミュージカルとして令和に復活させる。

 「『鴛鴦』が読めなくて…(笑い)」と、なじみのない戦前のフィルム映画を見つめた柚香は「信じられないぐらいにおしゃれで軽快で、現代に見ても心が躍ります」。主役の千恵蔵は「多羅尾伴内」「金田一耕助」シリーズも当たった大スター。「カッコいい中に“抜け感”や色気、あふれ出てしまう魅力がある」と感嘆し「画面の中に占める存在感のように私も場面ごとに、どんな匂いを立たせられるか」と課題を挙げた。

 貧乏侍ゆえ、月代(さかやき)が伸びた「むしり」というカツラに着流し姿だが、女性にはモテモテ。それでも礼三郎は異性に対して距離感を置く。「(普段は)女の子をエスコートすることに慣れてますので…」と異色の役づくりに腐心しているが「各キャラクターが愛情にあふれている。『とかく浮世はままならぬ 日傘差す人 作る人』と神髄に迫るセリフがあるんです。日常でも、ままならないことがたくさんありますけども『しょうがないな~』って肩の力を抜いて見てほしい。周りの方々との関わりが温かく感じるような作品になれば」と稽古に向き合う。

■キュートな殿様永久輝せあ 同期・水美舞斗(みなみ・まいと)が専科に異動し、花組の風景も変わった。今後は2番手昇格・永久輝(とわき)せあとのタッグで若き組を率いる。「鴛鴦」での共演は少ないが「彼女の芝居がすごく好き。普段も笑顔が多く、いろんなことに気を回してくれる心強い存在。一緒にいることが自然で、星風と3人でいる並びが心地いい」。永久輝は映画版より重要度を増す殿様・峰沢丹波守役。柚香は「あの殿様の国には絶対生まれたくない! よく国が滅びないなあ(笑い)。でも本当にキュートで、私もニヤニヤします」と信頼を置く。

■羽山紀代美さんに捧ぐ ショー「―MIRAGE!」は82歳の巨匠・岡田敬二氏の品格に満ちたロマンチック・レビュー。「『THEタカラヅカ』という感じ。花組100周年公演(The Fascination!=21年)もあり、歴史は感じていましたが、さらに濃度の濃い感覚。娘役さんも可憐(かれん)で、お稽古で思わず写真を撮ったぐらい(笑い)。宝塚の良いところだな、と改めて感じました」

 劇中のボレロは、今月10日に亡くなった振付師・羽山紀代美さん(享年78)が手掛けた場面。宝塚音楽学校からの恩人。前回の大劇場作(1~3月)の稽古場に羽山さんが柚香の元を訪れた。「目に涙を浮かべて『宝塚っていいところね』と、両手を広げてハグをしてくださって…。忘れられない言葉が、忘れちゃいけないものへと、どんどん膨らんでおります」

 先人の情熱と現代の表現者が、七夕を機に融合するステージになりそうだ。

 ◆「鴛鴦―」あらすじ 武士の礼三郎(柚香)は長屋で気楽な浪人暮らしで、山寺の境内で子供たちに剣術を教えている。隣人・お春(星風)は、そんな礼三郎にひそかな思いを寄せ、料亭の娘・おとみ(星空美咲)とは恋がたき。礼三郎は親が決めた縁談も断っているが…。そんな中、藩主の峰沢丹波守(永久輝)は、大好きな骨とう品の常連関係からお春と出会い、一目ぼれしてしまう。

 ◆柚香 光(ゆずか・れい)3月5日生まれ。東京都杉並区出身。2009年4月「Amour それは…」で初舞台。第95期生。花組一筋で、19年11月に花組トップスターに就任。11、12月に東京、神戸でスペシャルコンサート「Be Shining!―華麗なる時―」を開催。身長171センチ。愛称「れい」。

芸能

個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真 法人向け紙面・写真使用申請 報知新聞150周年
×