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【高校野球】花巻東・佐々木麟太郎、最後の夏は「甲子園で暴れる。命を懸けて戦う。日本一になるために」

高校最後の夏に向かって闘志を燃やす花巻東・佐々木麟太郎(カメラ・池内 雅彦)
高校最後の夏に向かって闘志を燃やす花巻東・佐々木麟太郎(カメラ・池内 雅彦)

 自身初となる夏の甲子園出場を狙う花巻東(岩手)の佐々木麟太郎内野手(3年)が21日、岩手県内の同校で取材に応じ、「甲子園で暴れたい」と昨年センバツ以来となる聖地への思いを語った。歴代最多の高校通算138本塁打をマークしているプロ注目スラッガーは、過去2年間使用したバットを変更し、フォーム改造にも着手。「身を賭(と)して、命を懸けて戦っていきたいとずっと思っていました」と不退転の覚悟を口にした。夏の岩手大会は22日に組み合わせ抽選会が行われ、7月7日に開幕する。(取材・構成=高橋 宏磁)

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 打撃練習中、麟太郎は黙々と白球を飛ばした。実は入学から約2年も愛用したバットを今春に変更したばかり。重さは約900グラムのままだが、太さを増した新相棒に加え、最後の夏に向けて打撃フォームも刷新。これまでのボールの下にバットを入れてスピンをかける意識を変え、ボールの中心部分を強く叩くイメージで打っている。

 「今年のテーマは、ボールに対してバットを正面衝突させたい。正面でぶつけて、角度どうこうより飛距離を呼び出す。前のバットは先端だけが重かったので、遠心力を使えた。今は全体的に重いので、スカッとは振れない。自分の体を思い切って(ボールに)伝えないと、飛距離が出ない」

 夏に懸ける思いは誰よりも強い。中3時、父の洋監督に他校への進学を勧められた。父の反対を押し切って、自ら花巻東へ進んだ。

 「親子関係は一切捨ててここに入ってきた。親子としてプレーするのではなく、このユニホームを着て、日本一になるために入ってきた。勝って甲子園に行くことが恩返しになる」

 道のりは平坦ではなかった。1年冬に両肩を手術し、昨夏も左人さし指を骨折。今春も背中を痛めたが、けがを理由にしたことは一度もない。

 「自分の体がどうであれ、このチームが勝てばそれでいい。たとえ次にやる試合が人生最後になっても、チームが勝って(仲間が)いい思いをすれば、それでいい。そういう覚悟で入学した。身を賭して、命を懸けて戦っていきたい、とずっと思っていました。多少痛かろうが、この3年間は人生で二度と帰ってこないもの。どんな状況でも戦える可能性がある限り、どんなゲームにも出場して、戦い抜きたいと思ってきました」

 幼少期から同校で“お兄ちゃん”たちのプレーにくぎ付けになった。甲子園に出場した際は、アルプスで声をからした。憧れは菊池雄星や大谷翔平だった。中学時代から参考にする大谷のフォームは今でも貴重な“バイブル”。ほぼ毎日、動画でチェックしている。

 「小学校に入る前からここ(花巻東)に来ていた。雄星さんの時も、翔平さんの時も見ていました。その中で憧れもあった。この中でやることが、野球人生の糧になると思った。翔平さんはバッティングを含めて、参考になるところだらけ。自分を高めるために、毎日刺激を頂いて感謝している。まだまだ言える立場ではないですが、一歩でも近づけるようにしたい」

 チームメート、スタッフを含め、全ての関係者に「恩返ししたい」という。聖地を逃した先輩たちの思いも背負い、4年ぶりの夏の甲子園を目指す。

 「必ず勝利に結びつけ、甲子園に戻って先輩方に恩返しをしたい。チームとしては必ず優勝旗をつかむというのが目標。勝ち上がることで、さらに強くなると思っている。必ず勝ち上がってまず優勝旗をつかんで、甲子園で暴れたいと思っています」

 進路も注目されるが、今は花巻東での最後のプレーに集中する。

 「現時点では監督と一回も話していない。まだ何も決めてないですし、夏に勝つことしか考えていない。今後については、夏が終わってからじっくり考えていこうと思っています。ここに来た理由は日本一になるため。そのためにやってきた」

 岩手大会は7月7日に開幕。甲子園への思いを胸に、麟太郎が全てを懸けて最後の夏に向かう。

 ◆佐々木 麟太郎(ささき・りんたろう)2005年4月18日、岩手・北上市生まれ。18歳。幼少時から野球を始め、小1で江釣子(えづりこ)ジュニアスポーツ少年団に入団。江釣子中ではエンゼルス・大谷翔平の父・徹氏が監督を務める金ケ崎シニアに所属し2年夏に「4番・三塁」で東日本選抜大会優勝。高校では1年春から「2番・一塁」でレギュラー。184センチ、113キロ。右投左打。家族は両親と妹。

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