昼下がりの上野で久しぶりのバイスサワー 下町の味に酔いしれる

スポーツ報知
下町で大人気の「ホイスサワー」と炙りサーモンの刺身

 久しぶりに東京・上野周辺を歩いた。新型コロナウイルスが猛威を振るう前だから約4年ぶりとなった。

 上野には3つの空間が存在する。国立西洋美術館や国立西洋博物館、東京芸術大学から流れるアカデミックな風。アメ横に代表されるエネルギッシュな熱い風。そして上野の森から湧き出るアドレナリンを逆流させる風である。

 私の青春時代、上野の森は“ナンパの聖地”と呼ばれていた。博物館や美術館帰りのパンフレットを胸に抱えながら歩いている女性に「サテンでヒーコーでも飲みませんか」と声をかける。私は一度も経験したことがないが、アイビールックに身を包んだ友人は何度も成功例を自慢していた。

 甘酸っぱい記憶をたどりながらアメ横に入った。もつ焼きの名店「大統領」の周辺はラッシュ時の新宿駅のホームのような大混雑。この路地はサッカー日本代表MF三苫薫のようにスピードを生かして歩くことはできない。MF久保建英のように細かいステップを踏みながらお目当ての居酒屋「全国銘酒 たる松 上野店」に入った。

 15時過ぎの来店には理由がある。「たる松」は開店の11時から23時まで休憩時間がない。営業時間内ならいつでもお酒が飲めるのだが、世の中に日常が戻り、外国人観光客が増え始め、17時以降は連日、予約で一杯になる。15時の時間設定はベストの選択といえるだろう。

 全国の日本酒が味わえる名店でも私は「バイスサワーセット」を注文した。下町の大衆居酒屋でおなじみでピンク色が代名詞。ビールやウイスキーが高価だった時代から下町界隈でロングセラーを続けている。巷(ちまた)では「梅酢」が由来と言われているが、幻の割り物と言われている「ホイス」の流れをくんでいるのが正解らしい。爽やかな酸味は一度、飲んだら忘れることはできない。

 つまみは炙りサーモンの刺身。サーモンの甘みは炙ることによって切れ味が増す。セットの中(焼酎だけ)を2杯、おかわりして時間にして約45分。この時間設定もグッドジョブ。帰りに土産として「肉の大山」で大人気のメンチカツを買った。還暦を過ぎると女房の笑顔が唯一の救いでもある。

  ◇「全国銘酒 たる松」 上野で2店舗を展開。今回、お邪魔したのは上野店。店内には樽酒が見事に並んでいるが、サワー系も充実している。つまみも魚介系を中心に豊富なラインアップ。営業時間はランチが11~15時、ディナーが15~23時。席数は40席でカウンターあり。年中無休もありがたい。(ホームページで要確認)

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