◆明治安田生命J1リーグ▽第17節 横浜FC0―0浦和(11日・ニッパツ)
【浦和担当・星野浩司】 試合後に選手が一礼した直後、浦和サポーターの大ブーイングが小雨を切り裂いた。最下位・横浜FC相手にスコアレスドロー。スタンドを赤く染めたファンの不満が爆発しても仕方ない結果だった。GK西川周作は「サポーターの方々の気持ちはすごく分かる。絶対に勝たないといけない試合と理解した中で、結果にこだわり続けなければいけない」と言った。
5バックで守備を固める相手を崩せず。狙いとしていた相手DF陣の裏ではなく、足元でボールを受ける場面が多かった。ハーフタイムには、スコルジャ監督から「背後にランニングしてる選手がいない」と厳しく指摘された。シュートは相手の3倍に上る15本を浴びせたが、大久保智明は「すごく決定的なチャンスがあったかと言われれば、そうではない」。指揮官は「残念な結果。ファイナルサードでもっとハングリーにプレーしなければいけない」と嘆いた。
5月20日の福岡戦から中2~3日でこなした7連戦のラスト。7日の天皇杯・関西大戦は延長戦の末に120分間を戦って辛勝しただけに、疲労の蓄積は見え隠れした。戦術練習を重ねる時間がなかったこともマイナス要素だった。
伊藤敦樹「連戦で攻撃練習はほとんどできてない。クロスが上がっても中に人数が足りてない。いい時はエリア内に3~4人が入れてる」
小泉佳穂「裏に出すためのコンビネーション、1タッチの意思統一がまだまだだと思う」
クロス攻撃と背後へのアクション―。その2つのプレーの質や回数が足りなかったと感じる。
J1リーグは今季の前半戦を終えた。浦和は16試合で8勝5分け3敗で4位。及第点の順位とも言える。J1最少の12失点と堅守が際立つ一方で、20得点はリーグで6番目に少ない。
チーム最多得点はFW興梠慎三とDFショルツの3点。酒井宏樹、明本考浩、伊藤敦樹、安居海渡とDFやボランチの選手が2点で続く。その一方で、物足りなさを感じるのは「2列目」の選手。安居はトップ下で出場時に2点を挙げているものの、大久保は1点、関根貴大、小泉佳穂、モーベルグらは無得点だ。
今季リーグ全16戦に出場の大久保は開幕前、スコルジャ監督から「12ゴール決めてくれ」と厳命された。同監督は以前、過去に率いたチームにおけるトップ下の選手について「キープレーヤー。多くのゴールとアシストを記録してきた」と明かしていた。現状、2列目の選手が指揮官が求めるゴール数の水準に至っているとは言いがたい。
首位・横浜FMはアンデルソンロペス、2位・名古屋はユンカー、3位・神戸は大迫勇也…。上位3チームとは違い、浦和には得点王を争うストライカーはいない。興梠は「優勝してるチームは、1人がたくさん点を取るというのが多い。そういう選手が出てくれば」。消化は1試合少ないが、首位と勝ち点7差の4位で臨む後半戦。2列目の選手を中心に、得点力の底上げが06年以来のJ1優勝のカギを握る。