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【番記者の視点】FW宮市亮が”魂”の決勝ゴール 横浜FM、昨季を上回る勝ち点36で後半戦へ

スポーツ報知
横浜FMの宮市亮

◆明治安田生命J1リーグ▽第17節 横浜FM4―3柏(10日、日産ス)

 横浜FMはホームで柏に4―3で勝利した。FWアンデルソンロペスが得点ランク単独首位に立つ今季13得点目を含め2ゴール。3―3の試合終了間際には、右膝前十字じん帯断裂から復帰したFW宮市亮が339日ぶりとなる復帰後初ゴール。勝ち点を36に伸ばし、暫定首位に浮上した。

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 キャプテンのMF喜田拓也が、宮市の決勝点が決まった瞬間を振り返った。

 「プロ11年目で幼少期からマリノスにいさせてもらって、数え切れないほどこのスタジアムに足を運んだけど、これだけの地響きのような声援、最後の宮市選手のゴール、あれだけの雰囲気は感じたことがなかった。本当にみんなの心を揺さぶった試合」

 誰もがゴール裏を目がけて走った。宮市をサポートするメディカルスタッフは涙を流し、悔しいはずの相手サポーターまでも試合後には拍手を送った。何度でも苦境からはい上がった宮市は、「みなさんのポジティブなエネルギーがのっかってゴールに入ったのかな。いろんな人の思いが乗ったゴールだった」とかみ締めた。様々な”魂”や”願い”が宿ったと感じずにはいられない。

 後半28分、2―3と勝ち越された段階では”負け試合”のようにも映った。後半立ち上がりの失点から流れは芳しくなかった。だが、「最後まで何が起こるかわからない、絶対に何かを起こせると、心底信じている、チームのみんなが。その強さが出た。みんなの諦めない気持ちが上回った」と宮市は胸を張る。不屈の男が言う言葉だからこそ、説得力があった。同34分からMF水沼宏太とともにピッチへ。相手選手の警告を誘発し、同43分に退場の展開へと持ち込んだ。チームが底力を見せた。

 前節に続く終盤の逆転劇。宮市の足元へ絶妙なボールを送ったMFマルコスジュニオール、同点ゴールのアシストをした水沼、大きなブーイングを背に奮闘した上島、MF渡辺皓太を押し出し、低めの位置で相手の嫌がる動きをし続けたMF山根陸と、途中出場の選手たちからはすさまじい気迫を感じた。3失点は大きな反省点だが、連覇を目指す上で取りこぼしが許されない下位相手に、勝ち点3をつかんだ。前半戦17試合を終え、勝ち点は昨シーズンの34を上回る36だ。

 宮市にとって、「一生忘れることのできない」試合が増えたことは言うまでもない。日産スタジアムは、長いリハビリで頻繁に利用した”トレーニング場所”。「誰もいないスタジアムで階段の上り下りをして、その景色が変わった。今日はたくさんのお客さんが入った中でゴールを決められて。リハビリ期間が走馬灯のようにフラッシュバックする感じだった。やっぱり現役を続けて良かったなと」。何よりサポーターやチームメート、スタッフと大逆転勝利を分かち合えたことに涙が浮かんだ。

 5月24日に負傷から公式戦復帰し、出場5試合で好パフォーマンスを続ける裏には、チームの一貫した姿勢もある。”プレーさせない”決断は常にハッキリしていた。状態が良いように見えても、負荷を調節するため、練習メニューをすべて消化しない日も多い。試合前にマスカット監督が「宮市の先発はない」と明言したことも。日暮清トレーナーは「調子が良い時ほど気をつけないといけない」と語ったが、すべてピッチに立つ瞬間、ベストパフォーマンスを発揮するためだ。本人含め、スタッフ間の状態共有も徹底している。

 出場時間を伸ばしていくことは今後のテーマではあるが、「すごく気を使ってもらって、出場時間も調整してくれている。トレーニングの負荷(調整)も、欧州にいた時は今までなかった。チームが自分の一番いい状態に持ってこられるようにしてくれているので、感謝しているし、いい形で積み上がっている」と話す。夏場の連勝街道を狙うチームとともに、さらに上向きに状態を上げていくスピードスターの姿が見られそうだ。(小口 瑞乃)

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