◆報知新聞社後援 第72回全日本大学野球選手権大会第4日▽準々決勝 明大5―0仙台大(8日・神宮)
4強が出そろった。明大(東京六大学)は5回に一挙5点のビッグイニングで仙台大(仙台六大学)を下した。今秋ドラフト候補の4番・上田希由翔(きゅうと、4年)が2点二塁打を放つ活躍。初戦の日体大戦でも3ランを放っており、2試合で計5打点と今大会、打棒が爆発。スカウトからは「左の牧(秀悟=DeNA)」との声も上がった。準決勝は10日に行われる。
勢い付くと止まらない。日体大との初戦の2回に一挙「6点」を挙げた明大が、0―0の5回に「5点」をスコアに刻んで勝負を決めた。2日連続のビッグイニングで記録した計11得点のうち、5点をたたき出したのが上田だ。前日(7日)の豪快な3ランに続き、左中間を破る強烈な2点二塁打を放った。
2点を奪って、なお1死一、二塁のチャンス。仙台大の2番手左腕・樫本旺亮に対し、上田は「開かず、無理に引っ張らないこと」を意識して左打席に入った。カウント1ボール2ストライクからの4球目。高めの直球を強く逆方向へ打ち返した。「打点を増やすのが4番の仕事。つくってくれたチャンスで走者をかえせるように、という意識でいます」と胸を張った。
4年春までのリーグ戦打率は3割1分3厘。本塁打を9本放つなど長打力も秘め、総合力の高い打者としてスカウトが熱い視線を送る。連日、ネット裏で視察したDeNA・河原スカウティングディレクターは「今日のように広角に長打を放って、打率も残せるタイプ。ウチの牧の大学時代(中大)と重なります。さしずめ、左の牧ですね」と若き“侍戦士”になぞらえた。
昨年は準々決勝で佛教大に敗れたが、同じ失敗は繰り返さなかった。たたみかける攻撃の原点にあるのは執着心。「1点取って満足するのではなく、ベンチでは『次だ、次だ』と声が出ています」と田中武宏監督(62)は明かす。4番で主将の上田が自らのバットで引っ張る明大が、4年ぶりの優勝へ加速した。(浜木 俊介)
◆上田 希由翔(うえだ・きゅうと)2001年8月12日、愛知県生まれ。21歳。「希望に向かって自由に羽ばたいてほしい」という願いが名前の由来。愛知産大三河では1年夏からベンチ入り。2年夏の甲子園に「4番・一塁」で出場。明大ではベストナインを3度受賞(3年春=一塁手、3年秋、4年春=三塁手)。リーグ戦通算262打数82安打(3割1分3厘)、62打点、9本塁打。183センチ、93キロ。右投左打。