【番記者の視点】浦和のゲームメーカー、小泉佳穂が6戦ぶり復活…57分間で見せたレギュラー奪回の兆し

スポーツ報知
浦和MF小泉佳穂

◆天皇杯 JFA第103回全日本サッカー選手権▽2回戦 浦和1―0関西大(7日・浦和駒場スタジアム)

 【浦和担当・星野 浩司】 浦和のMF小泉佳穂(26)がピッチに帰ってきた。コンディション不良から公式戦6試合ぶりに復帰し、先発出場。“らしさ”が凝縮されたプレーがいくつもあった。

 開始11分、後方の縦パスからFWリンセンのフリックを受け、ドリブルで相手ゴールへ迫って左足シュート。16分にはスルーパスでチャンスを作る。さらに、25分には敵陣中央で鋭いプレスをかけて相手の縦パスを奪い、リンセンを経由してMFモーベルグの決定機を演出した。トップ下で先発し、20分すぎから左MFへ。決定機の1つ、2つ前のプレーに多く絡んだ。

 守備でも魅せた。34分にはプレスバックで激しくボールにチャージし、後半2分には相手シュートをスライディングでブロックした。チーム随一の走力、守備意識の高さ。パフォーマンスは順調に戻ってきているように感じた。コンディション面を考慮されてか、後半12分に交代。57分間のプレーを終え、復活を待ちわびたサポーターから拍手を浴びた。

 「走れていたし、ボールコントロールの感覚も悪くなかった中で、いろいろ難しさを抱えながらやっていました。個人としてはもう少し決定的な仕事をしたかったし、これからそういう仕事をしたいという時間帯での交代だったのは少し残念だったけど、初戦としては悪くなかった」

 両足のキック技術が高いゲームメーカーの小泉は今季リーグ10戦に先発し、ACL優勝にも貢献。「メディカル的な理由」(スコルジャ監督)で5月14日のG大阪戦を最後にベンチ外が続いたが6戦ぶりに復帰した。スコルジャ監督は「佳穂の健康状態は日々良くなっている。彼は非常に重要なメンバーなので、戻ってきてくれてうれしく思う」と歓迎した。

 アジア制覇後、小泉は1つの悩みを吐露していた。5月10日の鳥栖戦で、2列目から自陣低い位置に下りてビルドアップに関わった際にパスを奪われて失点。「最近はミスに対する恐怖心がすごく大きい。そこ(ミス)に対して考えちゃうと悪いイメージや感情が残り、余計にミスが増える。負のスパイラルだと思う」と口にした。

 背番号8は「浦和レッズは大きなクラブで、すごく責任を感じる部分は大きい」。責任感が強く、背負うものが大きいからこそ、メンタル面の難しさを抱えているように映った。最後に話を聞いた先月17日も「答えは出てない。難しいことは考えず、シンプルに目の前のプレーに集中し続けていきたい」と言った。関西大戦後。休養を経て復活した小泉の受け答えや表情は、少しずつ前へ向いているようにも感じた。

 小泉が不在の間、トップ下は後輩の23歳MF安居海渡がリーグ戦で6戦連続先発。開幕から2試合はベンチ外だったが、運動量や守備強度の高さ、展開力やシュート技術を武器に主力へ台頭している。

 だが、長短のパスによるゲームコントロールに加え、前線で相手ボランチへのパスコースを消しながらDFにプレスをかける小泉の技術はJ1でも屈指だ。「次にチャンスがいつ来るか分からないけど、いい準備をしていければ」。次節は11日の横浜FC戦(ニッパツ)。波に乗っているライバルからレギュラーを奪回するチャンスは、いつ来てもおかしくない。

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