今春、4年ぶりにソフトバンクの宮崎キャンプを取材した際に3年越しの思いがかなった。視線の先には21年のドラフト1位右腕・風間球打投手(19)。ネット裏からフリー打撃に登板する姿を見つめた。
ファームの打者に直球のみを計38球投じ、前に飛んだ打球はわずか2つで安打性ゼロ。事前に球種を通達していたにもかかわらず、11度の空振りを奪い、バットもへし折った。制球は粗削りながら、王貞治球団会長兼特別チームアドバイザーも「あんな球を放って、すごいね」と評価。やはり、最速157キロを誇る剛腕のポテンシャルは高かった。
2年前は“ニアミス”に終わった。21年6月5日の春季秋田県大会の準々決勝、明桜―秋田南戦。実は、スポーツ報知評論家の藤川球児氏(42)から「自分と似た野球にまつわる名前の高校球児がどんな選手か見たい」という希望を聞き、急きょ現地視察に同行した。しかし、明桜・風間は「5番・右翼」で出場し、登板はなかった。
それでも、藤川氏は「一目見られただけで十分。弟のような感じがして親近感が湧いた」とうなずき、ひっそりと球場を後にした。「このタイミングで顔を合わせることも、あえてしたくなかった。プロ野球選手になることをゴールと捉えず、志高くチャレンジしてほしい」などと、後日に紙面を通じてエールを送った。
あれから2年。今春キャンプ中に、風間に当時の話題を振ると「覚えています。藤川さん、ネット裏に来られていましたよね? 右翼からベンチに戻る時に気づいて、なんでいるんだろうって思いました」と、驚いたという。そして、激励のメッセージに「本当にうれしかった。頑張りたいですね」と目を輝かせていた。
現在、球打は痛めた腰のリハビリに励む日々。まだまだ、制球面といった課題も多いと思うが、高卒2年目のダイヤの原石だ。今度は1軍マウンドで球児氏に負けない輝きを放つ姿を心待ちにしたい。(プロ野球遊軍・小松 真也)