◆日本生命セ・パ交流戦 オリックス2―1巨人(6日・京セラドーム大阪)
「まあ男の子っていうのは、お母さんにはとても弱いというね…」。2年前の母の日。原監督のコメントである。何歳になっても親の死はこたえる。お悔やみ申し上げます。
思い出したのは9年前のこと。ちょうど今頃だったのは偶然か。2014年5月29日。原さんの父、貢さんが亡くなった。そのことを僕らが知ったのは、2日後の31日。京セラドームでの試合の最中だった。
掛け値なしの手に汗握る投手戦。菅野は7回を無失点、120球の力投だったが、金子はもっと上を行った。9回を無安打投球も援護なく、いわゆる幻のノーヒッターです。
さらに劇的だったのは試合の行方。延長12回2死から亀井さんが決勝弾。骨折からの復帰戦だった。この勝利で巨人はロッテと並んで交流戦首位に立つ。いろんな意味で忘れようにも忘れられない一戦だ。
そんなわけで、相手はオリックス。しかも先発は絶対エースとなると、どうしたって9年前とダブる。とりあえず打てないのは想定内。投手陣が最少失点で耐え抜き、山本降板後のワンチャンスに懸ける…なんてゲームプランを妄想してたけど、現実は厳しい。
菊地は試合を立て直してくれた。偉い。問題は結果的に「オープナー」になってしまった先発の高橋。お前さん、先週火曜日の笑顔は、どこへ消えた。またマウンドの挙動不審者に戻ってしまっているぞ。それとも今季の巨人って「オープナーの2番手」以外は好投しちゃダメなのか。
前にも書いたけど「自分が天才だってことを忘れている選手が多い」と指揮官は嘆いていた。高橋にも自信を取り戻して堂々と投げてほしいな。こう言っちゃ何だけど、今季の投手陣ってチャンスだらけじゃないか。オドオドしている場合じゃない。よだれを流しながら戦いましょう。
原さんから母のカツヨさんについて話を聞いたことがある。「父はつき合いも多かったから、おふくろは家計のやり繰りが大変だったと思う。だから自分がプロに入ってからは、よく言われましたよ。野球をやってお金をもらえるというのは、ホントに幸せなことなんだからってね」―。異議なし。3代の勝負師を支えたのはダテじゃない。