◆日本生命セ・パ交流戦 巨人2―8日本ハム(2日・東京ドーム)
日本ハム・鈴木健矢投手が2日の巨人戦(東京D)に先発し、6回途中2失点でチームトップタイの5勝目を挙げた。強力巨人打線に9安打を浴びながら、今季最多102球を投じ「めちゃくちゃ打たれたけど、何とか粘れた」と先発の役目を全うした。
サングラスの奥で、ひときわ眼光が鋭さを増した。3点リードの6回1死二、三塁。鈴木は大歓声に包まれて登場した代打・坂本を外角ギリギリのスライダーで捕飛に封じた。通算2245安打の好打者を最後に抑えきり「ピンチの場面で球界を代表する打者を抑えられた。自信になります」と謙虚に汗を拭った。
バットでも魅せた。“自援護”したのは逆転した直後の4回1死二、三塁。「ボッテボテ。奇跡っす。たまたま当たった」と振り返った打球は投手のグラブをはじいて遊ゴロに。プロ初打点をマークした。交流戦に向けて「手痛すぎる…」と苦笑いしながら黙々と打撃練習に励んでいた成果を発揮した。
打線が今季最多14安打、8得点と爆発し、これで上沢に並ぶチームトップタイ5勝目。昨季、横手投げからアンダースローへの転向を勧めた新庄剛志監督は「僕の期待にすごく応えてくれているし、すごく頼もしい。彼の投球なら中2日でもいけるんじゃない?」と“新庄節”でたたえた。右腕も「今日は熱投しましたね。とか(同学年の伊藤)大海に言ったら怒られる。『俺もっと投げてる』って」と茶目っ気たっぷりに充実感をにじませた。
フォーム転向2年目で既に勝ち頭としてフル回転。そんな男の素顔は、心優しきお兄ちゃんだ。4人きょうだいの次男で、特に妹・春香さんにはデレデレ。「8個下のJK(女子高生)を甘やかしてます」と任天堂SwitchやAirPods、18歳の誕生日には一式約10万円のカメラをおねだりされてプレゼントした。
春香さんはこの日、学校があり応援に来られなかったが、駆けつけてくれた祖父と兄、そして千葉・木更津総合高時代の恩師の前で勝利を挙げた。「打ってくれる野手に感謝です」とプロ4年目の25歳。北のサブマリンが、また一つ勝ち星と信頼を積み上げた。(堀内 啓太)