大学野球関西学生リーグの熱い戦い 優勝争いの中で選手たちが見せた涙 そして、劇的な結末…記者コラム

スポーツ報知
近大の坂下翔馬主将(左)

 全日本大学野球選手権が5日、東京Dと神宮球場で開幕する。関西学生リーグは、大混戦を制した近大が2年連続31度目の出場権を得た。私が取材した最終節は劇的だった。

 首位・関大、2位・立命大、3位・近大まで優勝の可能性があり、関大は唯一、自力優勝ができる位置にいた。結果として立命大が連敗してV争いから脱落したため、近大に1勝すれば、95年以来の春制覇だった。しかし、その初戦で近大の主将・坂下翔馬遊撃手(4年・智弁学園)に先頭打者本塁打を許した。これに早瀬万豊監督(64)が「フェンスの穴に入ったのでは。打球がコンクリートやイスに当たれば物理的にはね返るはず。(はね返っていないので本塁打は)あり得ない」と抗議したが、判定は覆らなかった。

 試合後、外野席に行くと、右翼手がアピールしていた場所の一部が破損し、確かにボールが通る隙間があった。主将の有馬諒捕手(4年・近江)は「一発を食らい、自分たちのペースで野球できなかった」と悔いた。判定には一切、触れなかったが、流れが大きく傾いたのは確かだった。1―3の惜敗だったため、余計に「この一発がなければ…」と考えてしまった。

 2戦目は延長12回引き分け。3戦目を1―5で落とし、関大の春が終わった。逆転Vに盛り上がる近大の取材を終え、私は走って関大ベンチへ。さすがに球場を出ているだろうと思っていたが、ナインはまだ室内練習場にいた。「昨年から“ただ負けた試合”になっていると感じていた。負けから何を学ぶのか」。有馬の発案で、チームは毎試合後に時間をかけてミーティングを実施。この日は特に長かった。有馬は「優勝が懸かる近大戦に限って、思うような結果を出せない選手が多くいた。こういう緊張感の中で、結果を出せる選手になろう」と、仲間に呼びかけた。

 優勝を逃し、ベンチ裏で号泣する立命大の選手、優勝まであと1死に迫り、涙を浮かべる近大の選手を見た。この結果を糧に、秋は誰がどんな涙を流すのだろうか。(大阪アマ野球担当・瀬川 楓花)

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