【箱根への道】MGC進出67人中61人が関東の大学出身…「世界で通用する選手育成」1920年箱根駅伝創設時に掲げた理念浸透

今年3月の東京マラソンで日本人1位でゴールした山下
今年3月の東京マラソンで日本人1位でゴールした山下
21年12月の防府読売マラソンで日本勢トップの2位となった神野
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パリ五輪マラソン日本代表選考会進出の男子選手
パリ五輪マラソン日本代表選考会進出の男子選手
MGC男子出身者が多い大学
MGC男子出身者が多い大学

 24年パリ五輪マラソン日本代表選考会(MGC、10月15日、東京・国立競技場発着)の進出選手が出そろった。21年11月1日から23年5月末までの対象期間で条件をクリアした男子67人、女子29人が出場権を獲得。男子は進出に必要なタイムが約1分引き上げられたが、東京五輪MGC(19年9月)の34人からほぼ倍増し、男子マラソンの底上げは進んでいる。出身大学別では駒大、青学大が最多の7人を輩出した。箱根から世界へ―箱根駅伝が掲げる理念の実現が期待される。

 オタワ・マラソン(カナダ、5月28日)を最後に、MGC出場の有資格者が男子67人、女子29人となった。特に男子の充実ぶりがうかがえる。進出条件が、男子は2本平均の記録が2時間11分以内から2時間10分以内に引き上げられていた中で19年(34人)から倍増した。所属別ではトヨタ自動車が最多の7人。旭化成とJR東日本が4人で続く。

 出身校別で見ると、関東の大学が67人中61人。駒大と青学大が最多7人で、6人の東洋大が続く。最近10年の箱根駅伝で駒大は今年を含めて優勝2回、3位以内6回。青学大は優勝6回、3位以内8回。東洋大は優勝1回、3位以内7回。箱根路で活躍する強豪校は「箱根からの道」でも存在感を発揮している。

 今季から藤田敦史監督(46)に託した駒大の大八木弘明総監督(64)は「箱根駅伝で燃え尽きることなく、伸びしろを残すことを考えて指導しています。活躍はうれしい」と柔和な表情で話す。その後、表情を引き締め「MGC出場はあくまでスタートライン。日本代表枠を3つとも取ってほしい」と猛ゲキを飛ばした。

 青学大の原晋監督(56)も教え子たちに熱いエールを送る。「大事なのはここから。パリ五輪で戦えるか。果敢に挑戦してほしい」と期待を込めた。

 東洋大出身で東京五輪代表の服部勇馬(29)=トヨタ自動車=は条件を突破できず、MGC出場を逃した。ただ、パリへの道が途絶えたわけではない。今年12月の福岡国際、来年2月の大阪、同3月の東京でMGCファイナルチャレンジ設定記録(未定)を突破し、最上位になれば3人目の代表となれる。酒井俊幸監督(47)は「勇馬はMGCファイナルチャレンジで代表を目指す、と聞いています。全員が世界を目指して頑張ってもらいたい」と教え子たちを激励した。

 箱根駅伝は1920年に「世界で通用する選手を育成する」という理念を掲げて創設された。「箱根から世界へ、という意識は広く浸透しています」と原監督。伝統の継走は来年1月、第100回記念大会を迎える。理念実現のための挑戦は続く。(竹内 達朗)

 〇…MGCに進出した関東の大学出身選手61人が箱根駅伝で出場した区間は以下の通り(のべ人数)。1区26人、2区34人、3区14人、4区11人、5区23人(往路計108人)。6区9人、7区10人、8区11人、9区9人、10区11人(復路計50人)。「花の2区」と呼ばれるエース区間が最も多い。次いで、流れを決める1区、山上りの5区。関東の大学出身で箱根未経験の選手も3人いる。橋本崚は青学大時代、5区の神野大地の控えで一度も箱根路を走っていない。

 〇…高校卒業後に実業団に進んだ選手や関東以外の大学に進学した選手の健闘も光る。安川電機・古賀淳紫は佐賀・鳥栖工卒業後、1年目からニューイヤー駅伝で実績を残すなど力を蓄えた。中電工・相葉直紀は国立の広島大で4年連続で全日本大学駅伝に出場。卒業後、実業団でさらに成長を遂げた。関東学生陸上競技連盟の上田誠仁駅伝対策委員長(64)は「頂点を目指すルートはいくつもあります」と話した。

 ◆男子の代表争い 日本記録保持者の鈴木健吾(富士通)、前日本記録で東京五輪6位入賞の大迫傑(ナイキ)が中心。ただ、進出選手は67人と多く、新星が現れる可能性も大きい。注目はブダペスト世界陸上代表の其田健也(JR東日本)、と山下一貴(三菱重工)、西山和弥(トヨタ自動車)の3人。大会最終日の8月27日に走り、その7週後にMGCが待つ。疲労回復が鍵となる。

 ◆MGC(マラソングランドチャンピオンシップ) 東京五輪に向けた一発勝負の選考会として創設。対象期間に条件をクリアした選手が出場できる。2度目の今回は10月15日、国立競技場発着で行われ、男子が午前8時、女子が8時10分にスタート。男女2位以内が代表に内定。3人目は男子3大会、女子2大会のMGCファイナルチャレンジで設定記録(未定。前回は男子2時間5分49秒、女子2時間22分22秒)を突破した最上位が選ばれる。該当者がいない場合はMGC3位が代表内定。

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