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アルゼンチン代表元主将のNO8マテーラ「アルゼンチンと日本が8強に行く」…W杯フランス大会まで100日

日本の8強入りを予想したアルゼンチン代表元主将のマテーラ(カメラ・渡辺 了文)
日本の8強入りを予想したアルゼンチン代表元主将のマテーラ(カメラ・渡辺 了文)

 日本は1次リーグ(L)最終戦でアルゼンチンと対戦する。今季リーグワン2部の三重(旧ホンダ)でプレーし、アルゼンチン代表元主将NO8パブロ・マテーラ(29)が単独インタビューに応じ、「アルゼンチンと日本が8強に行く」と断言した。

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 10月8日、8強入りをかけてアルゼンチンと日本が激突…1次Lの組み合わせと日程が決まった時、そんな想像をしたファンも多かっただろう。しかし1次L同組のイングランド、日本、W杯開催国のフランスでプレー経験のあるマテーラの見立ては違う。

 「アルゼンチンと、おそらくイングランドではなく日本が8強に行く」

 確信の理由は1シーズン日本でプレーして感じた、層の厚さにある。

 「リーグワンにいるたくさんの選手の中から、いい選手を日本代表に選べるのは最大の強みだろう。日本の環境、どういうラグビーをするかは事前に勉強していた部分もあった。(リーグの)構造は知らなかったこともあって、思ったより大きなリーグで、多くのプロチームが存在するのだと感じた。1~3部、全てで競争力が高かった」

 マテーラは今季、三重で12試合に出場。チームは2部2位となり、1部11位の東葛(旧NEC)との入れ替え戦に2勝し来季の1部昇格を決めた。対戦したチームには、今季限りで引退を表明した元スコットランド代表SHグレイグ・レイドロー(浦安)ら海外の代表経験者も在籍している。

 「(リーグワンは)外国人選手と日本人選手のバランスも取れていて、日本人選手が外国人選手から学ぶことは多いと思う。外国人選手も日本の選手から学ぶことは大きい。来日前は速い展開かつストラクチャー(陣形の整った状態)なラグビーをイメージしていたが、三重ではアンストラクチャー(陣形の整わない状態)の練習をたくさんして、(イメージと)違うんだという考えになった。攻守の入れ替わりが激しいので、よりフィットネスを上げないとダメだと思った。新しいラグビーを経験することに楽しんで取り組めた」

 アルゼンチンと時差が12時間あり「母国と断絶した感じになってしまうのが不安要素」という以外は、楽しんで過ごしているマテーラ。リラックスタイムにはネット通販で取り寄せた、アルゼンチン伝統のマテ茶を楽しむ。アルゼンチンの選手も日本に興味を持っているという。

 「ここでの生活や文化、日本のラグビーがどう運営されているのかに興味を持たれている。特に魅力的だと思われているのはリーグワン終了後に国際試合シーズンに入っていけるところ。クラブのシーズン中に代表と行ったり来たりするとフィットするのが難しいが、リーグワンの日程はどの代表のスケジュールにも合う。いま多くの選手に日本のチームから話が来ていると思う」

 世界ランキング8位のアルゼンチン代表は屈強なFWを誇り、BKにはロングキッカーのFBエミリアーノ・ボフェリがいる。15年の年間最優秀コーチ、マイケル・チェイカ監督が22年3月に就任し、8月に敵地で初めてニュージーランドを撃破。11月にも敵地でイングランドに勝利した。W杯に向けた代表活動は7月8日の南半球4か国対抗、ニュージーランド戦から動き出す。

 今回の道のりは19年大会とは異なる。アルゼンチンは16年から多くの代表級選手がスーパーラグビーのジャガーズに所属し、長い時間を共にして強化した。しかしジャガーズは日本のサンウルブズ同様に20年限りで消滅。多くの選手がイングランド、フランスなど国外クラブに活躍の場を求めた。

 「世界中に散った選手間でつながりを保つのが大きなチャレンジであることは間違いない。特に(各リーグで)シーズンがバラバラで、ある選手はシーズン終わり、ある選手はシーズン前とタイミングが合わない。ただチーム内でもつながりを強く持とうとはしていて、95%の選手はそれが自然とできている。お互いの話をしてリフレッシュしたりしているところもある」

 そんな状況でチェイカ監督は「賢い方法で選手をつなげている」という。

 「例えば選手がトレーニング量、コンタクト練習の強度などを登録するシステムがあり、監督が各選手のプレー時間や練習時間を把握できるようになっている。1対1のミーティングは月1回程度ある。リーグワンの試合を見て、どこに集中したらいいかなどフィードバックをくれる。世界中でそれぞれ違うラグビーをしているが、みんなロス・プーマス(アルゼンチン代表の愛称)がどんなラグビーをするかは理解している。そこは大きな問題にならないと思う」

 日本とアルゼンチンの対戦は16年11月5日が最後。当時、初陣だったジェイミー・ジャパンは7トライを献上し20―54で大敗した。7年ぶりの対戦は両国だけでなく、世界中のファンも注目の一戦となる。もし、8強入りをかけた試合となったら?

 「フランスのファンはアルゼンチンより日本を応援するでしょう。昨年サッカーW杯の決勝で負けて、アルゼンチン人が好きじゃないでしょうから(笑い)」

(大和田 佳世)

 ◆パブロ・マテーラ 1993年7月18日、アルゼンチン・ブエノスアイレス出身。29歳。10歳でラグビーを始める。レスター(イングランド)などを経て今季はリーグワンの三重でプレー。アルゼンチン代表通算91キャップで15、19年W杯は主将を務めた。192センチ、108キロ。家族は妻と二男で、日本で生まれた次男を「アキラ」と命名。

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