◆春季東北地区高校野球山形県大会 ▽準決勝 日大山形7-0羽黒(7回コールド)(27日、米沢市営)
各地で準決勝が行われ、山形では日大山形が羽黒に7―0の7回コールドで勝利し、4年ぶり30度目の東北切符をつかんだ。エースの菅井颯(3年)がロッテ・佐々木朗希投手を参考にしたフォームで、7回ながら無安打投球の零封で勝利に導いた。
スコアボードに0を並べ続けた日大山形のエース・菅井は最後まで淡々とマウンドを守り続けた。仲間がコールドを決める7点目を追加し、7回ノーヒッターを達成したが「皆に言われて気づいた」と無意識のうちに「人生初」の記録達成。「コースコースで勝負した結果です」と笑顔を見せた。
苦しい立ち上がりだった。初回は先頭を左飛で抑えたが、「変化球が決まらなかった」と制球が定まらずにボールが先行。捕逸もあって2死二、三塁のピンチもあったが、31球を投げて何とかしのいだ。
そこからピカイチの修正力を見せた。直球を主体にした配球に切り替え「とにかく腕を振るだけだった」と、2回からは走者を一度も出さないパーフェクト投球で締めた。頼もしいエースに荒木準也監督も「菅井が投げていれば心配することはないです。よく修正してくれた」とうなずいた。
183センチの長身で、長い足を高く上げるフォームの手本は球界を代表するエース・佐々木朗希(ロッテ)で「球に勢いが欲しかったので挑戦してみた」と昨冬からつくり上げてきた。1年春から公式戦で登板も、1年夏、2年夏は右肘のけがに苦しんだだけに冬場は「けがしない体づくり」を意識。スクワット中心のウェートトレなどで体重も8キロ増量し「下半身がしっかりしてきたのでこの投げ方ができるようになった」とけが防止の意識が、自然と朗希に近づく一歩となった。最速も昨秋の136キロから144キロまでアップ。「同じように直球を武器にしたいので、ここから150キロを目標にしたい」と貪欲に進化を遂げるつもりだ。
準々決勝、準決勝ともに一人で投げきったエース。6年ぶりVを狙う決勝に向け「次も全部行くつもりです。打の日大山形と思われがちだが、自分が守備で存在感を示していきたい」と誰よりも輝きを放つ。(秋元 萌佳)