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【番記者の視点】新システムは不完全燃焼…伊藤&大久保投入で逆襲 浦和が得た「トライ」と「結果」

スポーツ報知
浦和の伊藤(左)と大久保

◆明治安田生命J1リーグ▽第13節 浦和3―1G大阪(14日・埼玉スタジアム)

 【浦和担当・星野 浩司】「いつもの形」に戻った後半は見違えた。ビルドアップ、パス連携、フィニッシュ。前半うまくいかなかった印象が強かった浦和の攻撃の流れを変えたのは、1―1の後半開始から投入されたMF伊藤敦樹と大久保智明だった。

 圧巻だったのは、開始42秒。伊藤がスルスルと動いて敵のマークを引きつけて空けたスペースにショルツが縦パスを通す。相手の最終ラインとボランチの間で大久保智明がフリックし、興梠慎三→安居海渡→関根貴大→荻原拓也へと1タッチのパス交換で相手を混乱させた。

 前半をベンチで見守った伊藤は「あまりいい形でいっていない印象があった。後半はやり方をいつも通りに変えて、いい形で試合に入れた」。右MFの大久保と同じ右ボランチに入り「うまくノッキングすることなくスムーズに入れた」と話す。ACL優勝に貢献した主力2人の投入は大きかった。後半9分には大久保が今季初ゴール。14分には伊藤が相手GKからDFへのパスに猛烈プレスをかけてボールを奪い、安居の3点目につながった。

 新システムは不完全燃焼だったように見えた。リンセンと興梠が今季初めて同時先発し、2トップを形成。主にトップ下を務めてきた安居が今季初めてボランチで先発した。これまで攻撃時に岩尾が1アンカー、インサイドハーフ(IH)に2人が並ぶ形が主だったが、この日は岩尾と安居の2ボランチ。リンセンがトップ下気味、小泉佳穂か関根がIHのような位置でプレーする狙いが見られた。

 だが、前半42分に興梠がPKを獲得して同点に追いつくまではゴールが生まれず。スコルジャ監督は「プレースピードが上がらず、あまり決定機を作れなかった。相手のDFラインの背後に抜ける動き、スペースを使う動きが少なかった」と顔をしかめた。

 しかし、指揮官はこうも言った。新2トップについて「この形でプレーするとやりにくい部分はあるであろうと、試合前から予想していた」。ACL決勝後に新たな布陣やシステムを試す意向を示していたが、「そのうちの1つが今日の形。今後またこの形を試したい」と話した。

 トライと結果―。チームの成長を促しながらタイトル獲得を狙うには、二兎を追う必要がある。うまくいかないと予想されていてもチャレンジする。それができるのは、いざとなれば長い時間をかけて成熟し、ACLを制した絶対の自信を持っている基本布陣に立ち返ることができるからだ。

 岩尾は言う。「後半のような自分たちの1つのベーシックなやり方はあるけど、それだけじゃないところも作るのはチームとして大事。試して負けて終わるのと、トライしてしっかり結果を残すのは全然違う。結果を得ながらトライする。それを続けていきたい」。この日は必ずしも成功とは言えなかったが、新オプション作りに意欲を見せた。

 リンセンや安居。リーグ戦で先発機会が少なかった選手がチームに変化を加えたと思えば、スタメンを外れた主力選手も高いレベルのプレーを見せた。「まだまだスタメンは譲りたくない」と伊藤。アジア王者がJリーグでもさらに強さを発揮していく予感を感じさせた。

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