◆明治安田生命J1リーグ▽第13節 横浜FM1―2新潟(14日、デンカS)
【横浜FM担当・小口 瑞乃】横浜FMは敵地で新潟に1―2で敗れた。ゲームを支配した前半の終了間際にMF藤田譲瑠チマがクロスに頭を合わせて今季初ゴールを挙げたが、後半は流れをつかめず2失点。3連勝はならず、2位は維持したものの、首位・神戸との勝ち点は5差に開いた。
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ボールを握り、いいテンポでつないで敵陣に押し込んだ。「ここまでできるんだってくらいエキサイティングな試合をしてくれて、楽しかった」とマスカット監督も褒めたたえた前半だった。しかし後半は、まるで違うチーム。後半12分に自陣でのパスを奪われて同点ゴールを許し、10分後に強烈なミドルを浴びた。FWアンデルソンロペスらが並ぶ前線までボールを入れるシーンをうまく作れず。1点止まりに終わった。
DF畠中槙之輔は「前半シュートチャンスがいくつもあったし、そこで決めきれないとああやって相手に流れを持っていかれる」と話し、積極的にミドルシュートを放ったMF渡辺皓太も「本当に前半は手応えある試合ができた。前半のうちに試合を決められた」と悔やんだ。相手GKのセーブが光ったこともある。ただ、DF永戸勝也が見事なランニングでゴール前の好機を迎えるなど、あと一歩のシーンが多かった印象だ。「ラッキーな時間帯に点が取れた」と藤田がFWヤンマテウスのクロスにうまく入り込んだ先制点だけでなく、複数得点を奪うべき45分間ではあった。
チーム全体の反省材料が挙げられた一方で、後半45分間、苦戦した理由は何か。新潟MF伊藤涼太郎らにボランチの背後をうまくつかれ、センターバックからのパスコースは限定された。同点とされてから、相手はよりプレスの圧を弱めた。”あえて”陣形を変えない相手に、DF松原健は「焦れてしまった」という。相手のズレを生み出せずその焦れを突かれた。「(パスを)前に当てる回数が少なくなって、相手がロストして自分たちが奪ったパスがずれて、セカンドが拾えなくなってしまった」と自分たちで首を絞める形に。
渡辺は「コースがないなら、もっと探すんじゃなくて動かすべきだと感じていて、センターバックも探すシーンが多くて。そういう時には見えたところに動かす。そうすれば相手も動く。そういうプレーがもっと必要だった」と相手を”崩す”プレーが足りなかったと痛感。藤田も「もう少し探さずに動かして動かして、というのを繰り返せれば良かった」と同様の反省点を口にした。
ビルドアップが引っかかり、こぼれたボールを奪われる。負のループを断ち切れず、渡辺は「完全に自分たちからはまりにいってしまって、メンタル的にもかなりきつかった。変な失い方ばかりしてしまった」。ピッチ内の空気感やプレーの矢印の向きも、この日はマイナスに傾いていたかもしれない。同時に、そうした局面で「もっと(受け手として)引き出しを増やしてあげないといけないし、自分が助けられるようなプレーができたら良かった」と強い責任感を露わにした。
1失点目は自陣でのミスから。2失点目も「もっと(ボール保持者に)人が寄せられたと思う」(畠中)と改善可能な範囲だ。今節は「勢いにのみ込まれてしまった」と今季J1に復帰した新潟に上回られた。次節、G大阪戦(20日)も敵地での戦いとなる。ここでの取りこぼしは痛い。渡辺は「本当に連敗はできない。次、必ず勝ちたい」と力を込め、松原も「今日の負けは受け入れて切り替えている。リバウンドメンタリティーをチーム全体で出せるように」と前を向いた。一人一人の強い気持ちを、プレーに乗せて示さなければいけない。