歌舞伎俳優・市川春猿として長く活躍し、2017年に劇団新派に移籍した河合雪之丞(52)が、6月6日に開幕する舞台「夜曲~ノクターン~」(22日まで、大阪松竹座)への抱負を語った。
「劇団扉座」主宰の横内謙介氏(61)の名作戯曲「夜曲 放火魔ツトムの優しい夜」が原作。当初はA.B.C―Zの五関晃一(37)と塚田僚一(36)のダブル主演予定だったが、塚田が体調不良で活動休止を発表したため、同グループの戸塚祥太(36)が代役を務める。気弱な放火魔の田山ツトム(五関)が廃虚に放火すると、700年前の鎌倉時代後期からタイムリープした武士の田村十五(戸塚)が登場する物語。雪之丞はミステリアスな女・黒百合(くろゆり)を演じる。
「スーパー歌舞伎2 ワンピース」などでタッグを組んだ横内氏からラブコールを受け、「またご一緒できてうれしいです。現代と過去が交錯する物語で、横内さん独特の青春群像劇も。お客さまを不思議な世界にお連れしたい」。女優も出演する中で女形として演じることに「女形の異質な部分が良い方向に出るように心掛けたい。女優ではなく、女形が演じることによって、より魅力的になる努力が必要」と気を引き締めている。
女形として坂東玉三郎(73)が憧れの存在だ。「玉三郎さんには人生を100回繰り返しても追いつけない。絶対、玉三郎さんのようになれない前提で憧れてます」。7月には新作歌舞伎「刀剣乱舞」(7月2~27日、新橋演舞場)に出演予定。今後も新派に軸足を置きながら、幅広く活躍していく。(有野 博幸)
◆河合 雪之丞(かわい・ゆきのじょう)1970年11月29日、東京都生まれ。52歳。88年に国立劇場の歌舞伎俳優研修を修了し、3代目市川猿之助(現・猿翁)に入門。市川春猿を名乗る。2017年、劇団新派に移籍して河合雪之丞に改名。「黒蜥蜴」「八つ墓村」などに出演。22年6月の「ふるあめりかに袖はぬらさじ」で6年ぶりに歌舞伎座に出演した。