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【番記者の視点】川崎、10節終了時二桁順位は10年ぶり…だけれども 価値ある勝利で勝負の5月へ

スポーツ報知
川崎サポーター

◆明治安田生命J1リーグ▽第10節 福岡1―3川崎(29日・ベスト電器スタジアム)

 【川崎担当・岡島智哉】川崎は敵地で福岡を3―1で下し、今季3勝目を挙げた。DF登里享平が先制点を挙げ、後半にFW宮代大聖のゴールなどで効果的に加点した。

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 見事なパスワークが繰り広げられていた。“田んぼサッカー”にこそならなかったものの(ベスト電器スタジアム管理者に拍手と賞賛を)、90分降り続いた大雨で芝は滑りやすく、ピッチコンディションは決して良好とは言えなかった。

 それでも福岡・長谷部茂利監督が「スリッピーになったことで、技術の差が出た」と振り返ったように、“土俵”は川崎のものになった。本来、パスサッカーを標榜するチームにとって大雨は天敵だが、積み上げてきた確かな技術が川崎にはあった。相手の嫌がるところを効果的に使い、パスで前進した。

 遠征には“19人目”としてDF佐々木旭が帯同していた。選手によると、雨の状況を見てメンバーを最終決定したようだ。ピッチコンディション次第で、佐々木がメンバーに入る選択肢も直前まであったという。

 永長鷹虎がドリブルを繰り出せるピッチか。ウェリントンに山村和也をぶつける必要があるのか否か。フル出場が少ない登里の交代要員は、好調の佐々木か車屋のスライドか、等々。あらゆる状況を想定した上でのメンバー選考となったとみられる。一人分の飛行機代と宿泊費を“投資”し、抜かりなく勝利をつかみにいった。

 勝ち点を12とし、順位は15位から12位に上がった。しかし二桁順位での10節終了はJ1初年度だった2000年(勝ち点7、15位)、13年(勝ち点12、12位)に続き3度目で、10年ぶりとなる。

 00年はJ2に降格しているが、13年は最終的に3位まで上り詰めているし、現段階の順位でああだこうだ言うのは大した意味がない。ただ「上手くいかない」シーズンであり、「今後も順風満帆にはいかないだろう」シーズンであることもまた事実だ。

 「勝ちを積み上げられていないのが、いろいろな意味で自信に変わりづらいところなのかなと。勝ち点が少し足りないので自信に変わりづらいが、選手の成長は見えている。どうやって自分が選手に力を発揮させられるか。やってやろうというか、そういう気持ちは出ている。それをどう結果に結びつけられるか」。福岡戦前、鬼木達監督はこう語っていた。

 「どうやったら勝てるのか」という問いがあるとすれば、逆説的だが「勝つこと」が1番である。どんな形であれ、勝って自信をつけることで、勝てるチームになっていく。ポジショニングの工夫、相手の対策を剥がす方法、セットプレー対策…。「自信」は全てに利く特効薬だ。

 5月3日のアウェー京都戦で、今季3度失敗している「連勝チャレンジ」に挑む。5月の対戦相手は、京都、鳥栖、FC東京、横浜FC、柏。12位の立場で言えたものでもないが、勢いと自信さえつけば、勝ち越しだけでなく、さらに上の成績も目指せる。反撃へ、勝負の5月が始まる。

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