1年でのJ2復帰を目指すJ3いわてグルージャ盛岡は、前節に福島ユナイテッドを破り首位に浮上した。昨季まで監督を務めた元日本代表DFの秋田豊社長(52)は、様々な新企画を打ち出して観客動員や収入アップに奮闘している。
ホームのいわぎんスタジアムでは、今季から秋田社長の生解説付きで観戦できる「秋田豊解説シート」がお目見え。1席1万円と高価ながら、開幕節の沼津戦では全9席が完売。サポーターはバックスタンド中央のイスに座りながら試合を堪能した。「お客さんの感触は良かった。選手の性格や裏話、相手チームのやり方などをお話させていただきましたよ」。ハーフタイムにはドリンクコーナーが人手不足となり急きょ手伝うなど、運営面でも走り回っている。
クラブの全てを担う社長業は就任から約5か月が経過。「責任は重くなったけど、重いのは得意だからね」と笑った。就任直後はほぼ無休。現在も休みは週に1度あればいい方だが「いろいろアイデアが出てきて楽しい。仕事をしているという感覚はないかな」と前向きだ。
いわぎんスタジアムは、4月1日に開場した球場「きたぎんボールパーク」に隣接しており、共通の賑わいを創出するため今季からホーム側の座席をボールパーク寄りに変更。スタジアムグルメのキャッシュレス化にも取り組むなど、新たな試みを行っている。「どうやったらお金を作れるか。運営費、強化費につながるよう、これからも色々考えていきたい」。現役時代は日本代表として2度のW杯メンバーに選ばれた熱血漢。活躍のフィールドをピッチ外に移しても、その情熱は全く衰えていない。(東北支局・岩崎 敦)