昨年10月の箱根駅伝予選会で3年連続で敗退するなど低迷する日大の新しいケニア人留学生シャドラック・キップケイメ(19)が2日、日本デビュー戦として、神奈川・平塚市の東海大湘南陸上競技場で行われた東海大・日大対抗戦の1500メートルにオープン参加し、3分47秒50でトップでゴールした。3月上旬に来日し、チームに合流したキップケイメは「日本で初めてのレースとしては良かった。ハッピー」と笑顔で明るく話した。
日大は箱根駅伝で歴代3位の優勝12回を誇るも近年は低迷が続く。ただ、それでも、どん底からは脱した。毎年10月に開催される箱根駅伝予選会で20年は18位とチームワースト、21年は21位とさらにチームワースト記録を更新したが、昨年は13位に浮上した。全日本大学駅伝では関東選考会を7位で通過し、3年ぶりの伊勢路への復活出場を決めた。「今季の目標は箱根駅伝復活出場だけです」と武者由幸コーチは力強く話す。
日大に勢いを与える存在が新人留学生のキップケイメだ。今春、卒業したチャールズ・ドゥングと入れ替わりで日大の文理学部に入学。3月上旬に来日し、練習に励んでいる。「日本の生活にも慣れてきました。日本食、全部おいしいです」と満面の笑みを見せる。武者コーチは「明るい性格でチームメートとうまくなじんでいます。きょうは1500メートルの出場でしたが、練習もしっかりやれる選手なので、ハーフマラソンなど長い距離も走れそうです」と明かす。
現在、19歳のキップケイメの自己ベストは5000メートル13分36秒、1万メートル28分13秒。「今年中にハーフマラソンでは1時間1分で走りたいです」と意欲的に話した。
日大時代、2013年の箱根駅伝で2区区間賞に輝き、現在は栃木・壬生町地域おこし協力隊員として活動しているガンドゥ・ベンジャミンさん(31)が来日直後のキップケイメを激励に訪れ、日本の生活や競技についてアドバイスを送ったという。来年、100回目を迎える日本伝統のレースの存在も把握している。「箱根駅伝、知っています。2区を走りたいです」とキップケイメは意気込む。
来年の箱根駅伝は第100回記念大会。「予選会は増枠があるでしょうけど、そこに頼るつもりはありません。5位以内を目指します」と武者コーチは話す。この日の東海大対抗戦5000メートルでは安藤風羽(3年)が東海大の3年生主将の越陽汰にゴール直前まで競った末に14分20秒08でトップを取り、日大陣営は大きく沸いた。今季の日大には復活の気配が漂っている。