◆明治安田生命J2リーグ ▽第7節 甲府1―0清水(1日・JITスタジアム)
清水エスパルスがゼ・リカルド監督(52)を解任する可能性が出てきた。敵地で甲府に0―1で敗れ、今季初の連敗で開幕から5分け2敗。昨年9月から続くリーグの勝ちなしは14に伸びてクラブワーストを更新した。試合後、大熊清GM(58)は「(現体制を)検証しなくてはいけない」と解任を否定しなかった。
残酷なコントラストだった。終了のホイッスルが響くと、清水・リカルド監督がうつむく背後で、昨季まで同僚だった甲府・篠田善之監督(51)が派手なガッツポーズを繰り出していた。またしても負の連鎖を止められず、敵地まで駆けつけたサポーターから大ブーイングと罵声が飛ぶ。指揮官は「(ファンに)何とか恩返ししたいと思っているが、心苦しい」と漏らした。
突きつけられた現実はあまりに厳しい。開幕から5分け2敗。昨季のJ1得点王や元日本代表FWを擁しながら、無得点はこの日で4度目だ。「押し込む作業を続けないと」と反省を口にしたリカルド監督だが、自陣に引いてブロックを固める相手に苦戦する傾向は改善されていない。
関係者によると、クラブは「試合数×2」の勝ち点を最低限のノルマに設定していた。判断のメドとしていた10試合まで残り3試合を仮に全勝しても14にとどまり、すでに達成は不可能な状況に陥っている。大熊GMは試合後、監督の去就について「検証しなくてはいけない」と続投を明言せず。「ピッチでの結果は大切」とも付け加え、指揮官と話し合いの場を持つ考えを明かした。
過去J2から昇格したチームが開幕から7試合目までに挙げた勝ち点の最少は7。現時点で5にとどまる清水が来季J1でプレーする可能性は限りなく0に近い。順位も1つ下がって19位となり、2日の栃木、水戸、徳島の勝敗次第では最下位転落の屈辱を味わうことになる。「(チームを)本来の位置に持っていくために続けていきます」と意気込むリカルド監督の言葉がむなしく響く。尻に火が付いたオレンジ軍団の迷走に、終わりは見えない。
(武藤 瑞基)
【プラスα】試合後、報道陣に囲まれた大熊GMは現体制の継続について、曖昧な言葉を残した。複数のJリーグ関係者の話を総合すると、リカルド監督が解任された場合、秋葉忠宏コーチ(47)の昇格を軸に、他のJクラブで指導経験がある外国人監督を複数リストアップしているという。
シーズン途中に監督交代となれば5年連続。そもそも昨季終盤7試合を勝ちなしで終えたリカルド体制の維持を決めたフロントの責任が問われるのは間違いない。1月の新体制会見で山室晋也社長(63)は「今年結果を出すことが一番の責任の取り方」と明言。大熊GMは「強い育成型クラブにしていくことが重要」と語っていたが、現状は育成どころかJ3降格の危機さえある。クラブ内からは「任命した人間の責任はどうなっているのか。これで次の監督も大熊GMが決めるのはおかしい」との声も漏れる。毎年のように繰り返される“お家騒動”に、いい加減終止符を打つべきだ。
(清水担当=武藤 瑞基)