【高校野球】「きたぎんボールパーク」こけら落とし 早実と記念試合の花巻東・千葉主将「ここから新たな一歩を」

スポーツ報知
花巻東対早実の記念試合には約1万人が詰めかけた

▽記念試合1試合目 早実7-6花巻東 ▽同2試合目 花巻東5-6早実

 花巻東(岩手)は1日、盛岡市内の新球場「きたぎんボールパーク」のオープン記念試合で、早実(東京)と対戦した。第1試合は6―7でサヨナラ負け。特別ルールのため5回終了まで行われた第2試合も5―6で敗れたが、昨冬から主将を務める千葉柚樹内野手(3年)は「ここから新たな一歩を踏み出したい」とまずは4年ぶりの夏の甲子園出場を目指すと誓った。

 新球場のこけら落としとして行われた記念試合。早実に2敗した花巻東ナインに、観衆から温かな拍手が送られた。千葉主将にも悲壮感はなかった。「緊張感があるゲーム。少し課題は残りましたが、またこの球場で新たな一歩を踏み出すのは花巻東でありたい」と先を見据えた。

 2戦とも、投手陣が踏ん張れなかった。第1試合は4点リードで迎えた8回に4点を献上。同点に追いつかれると、無念のサヨナラ負け。第2試合は初回に5点を先制しながら、3点リードの最終5回に4点を献上。今春の県大会を前に、課題が明確になった試合だった。

 ただ第1試合の8回2死一塁では今野憲伸外野手(3年)が右翼席へ“新球場1号”となる2ランを放った。記念すべき一発を、観衆は割れんばかりの拍手でたたえた。1万14人が詰めかける中、打線は2戦合計17安打と快音を連発。全国制覇の経験もある強豪を相手に、意地は見せた。

 チームとしても、新たな挑戦とともに臨んだ一戦だった。昨冬、千葉がキャプテンに就任。昨秋はプロ注目の怪物スラッガー・佐々木麟太郎内野手(3年)が主将を務めたが、父である洋監督(46)の「いろんな選手に経験を積ませたい」という思いもあって変更に。麟太郎と同様、2年時から主力の千葉は2戦とも4番に座った。5打数2安打2打点をマークするなど、確かな成長曲線を描いている。

 3月末に閉場した岩手県営球場では、花巻東OBのエンゼルス大谷翔平や、ロッテの佐々木朗希(大船渡出)が160キロを計時。高校球史に残る数々のドラマが生まれた。その後継球場となる「きたぎんボールパーク」マウンドの下には、朗希や少年たちのサインボールが埋め込まれた。またマウンドには、県営球場の砂がまかれた。

 伝統が染み込んだ新球場。その初戦を勝利では飾れなかったが、佐々木監督は「先輩方が活躍している。また新たな歴史を生み出してくれる、そういう球場ではないかと感じました」と未来へ思いをはせた。注目は怪物スラッガーだけではない。新たな“岩手の聖地”で、花巻東が再び歴史をつくる。(高橋 宏磁)

 〇…花巻東と早実の記念試合では、約4年前から同球場の設立へ助言してきた元巨人の堀内恒夫氏(スポーツ報知評論家)が始球式を務めた。“ノーバン投球”を披露した堀内氏は「届くかどうかも心配だったけど、ストライクだったね。天才ですね」とニンマリ。「現在の技術の粋を集めたようないい球場。こんなにいい球場になると思わなかった。マウンドも投げやすそうだったね」などと話していた。

 ◆きたぎんボールパーク 岩手県と盛岡市が共同で盛岡南公園に整備した新球場。総事業費は約108億円。両翼は100メートルで、中堅が122メートル。収容定員は2万人。神宮球場と同じ人工芝を採用し、ナイター照明には大リーグなどで実績のあるLED照明を採用。室内練習場も整備されており、5月16日に楽天-ソフトバンク、6月28日に巨人-ヤクルト戦が開催される。

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