◆明治安田生命J1リーグ▽第6節 神戸 3―0 京都(1日・サンガスタジアムbyKYOCERA)
8試合が行われ、神戸はMF汰木(ゆるき)康也(27)の2得点などで敵地で京都に3―0で快勝し、首位をキープした。元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタ(38)は今季初めてベンチ入りしたが、リーグ戦で初めて出場機会なしに終わった。この判断を神戸担当の種村亮記者が「見た」。
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3点リードの終盤、ベンチ横のウォーミングアップエリアに視線を移すと、すでにイニエスタの姿はなかった。試合は交代枠1を残して終了。J参戦6季目、リーグ戦通算111試合目で初めてベンチメンバーながら出場機会がなかった。
今季はコンディション不良などで開幕から公式戦6試合を欠場。3月26日のルヴァン杯1次リーグ・横浜FC戦では、決勝点の起点となる好パスを出すなど存在感を発揮。「状態は非常に良い」と話していただけに驚きを隠せなかった。チームが異例とも言える判断をした背景には近年のスタイルの変化がある。
イニエスタが加入した18年からクラブはパスサッカーを志向してきたが、21年夏に元日本代表FW大迫と元同代表FW武藤を獲得。以降はロングボールを使って最前線の個の力を生かした攻撃へ軸足は移りつつある。昨夏に就任した吉田孝行監督(46)の戦い方もハイプレスからの速攻がベース。この日も3得点すべて敵陣での積極的な守備から生まれた。3点目をアシストした武藤は「戦術うんぬんより、闘う所や走る所、皆でやるべきことができている」と振り返った。
5月で39歳になるベテランを縦に速いサッカーでどう生かすのか。チーム内の競争を重視する指揮官はこれまで、イニエスタの起用法について「選手によってベースを大きく変えることはない」という一方、「プレーできる状況なら彼の力が必要になる」とも話していた。スタイルを貫いたまま、司令塔の良さを発揮できるプランを打ち出せるかが首位の座を守るテーマとなりそうだ。(種村 亮)