嵐の松本潤が江戸幕府初代将軍・徳川家康を演じるNHK大河ドラマ「どうする家康」(日曜・後8時)の第13回「家康、都へゆく」(4月2日放送)で、家康が近隣の大物・武田信玄(阿部寛)を怒らせる。
かつての主君だった今川家の氏真(溝端淳平)を、武田と密約を交わして倒した。だが、後処理に誤解が発生。約束を破ったと信玄との仲に亀裂が走る。
演じる阿部のビジュアルも大柄な丸坊主という迫力。甲冑(かっちゅう)姿になると一般的に知られた信玄のイメージそのものだ。2021年に番組の制作発表を取材した際には、松本とともに阿部もいた。189センチの身長に険しい顔付き。低音ボイスで「そんなに一緒のシーンはないと思うから、三方が原(の戦い)に全勢力をかける」と意気込んでいた姿は、実際に怖かった。ウソかまことか家康の脱ぷんエピソードもうなずけた。
次回では、家康が足利義昭(古田新太)に呼び出されて上京する。京都には義昭の後見人・織田信長(岡田准一)、豊臣秀吉(ムロツヨシ)、明智光秀(酒向芳)、浅井長政(大貫勇輔)らの姿も。誰もが知る戦国オールスターがそろいつつある。個人的には、室町幕府最後の将軍でもあり暗君で知られる義昭が気になる。古田が出演決定の際に「ダメな人だったんだろうなと思います」と、役柄をフォローしない異例のコメントをしており、どんな芝居をするのか楽しみで仕方がない。
前週の第12回「氏真」では、氏真との最後の戦いが描かれた。家康も、氏真とは今川家の人質時代から兄弟のように育った仲。劣等感を全て吐きだして負けを認める氏真に、家康も「今でも今も、兄と思っておる」と涙でシャウト。結局、命は助け、氏真の妻(志田未来)の実家である北条家へ逃げる協力もしてしまう。
その後、氏真は表舞台からは消えるものの、意外と江戸幕府が開かれた後まで長生きしている。勇ましく戦って討ち死に、神経をすり減らして寿命を縮めた大名も多かった時代。氏真はある意味ハッピーエンドだったのではと見方が変わった。SNSでも「生存にびっくり」「人生の勝者」「現代人から見ると勝ち組」と、ある意味、称賛の声が相次ぐ。番組関係者によると「今後も出番がある」という。
結果的に氏真を助けたことで、信玄との約束を破った形に。今川・北条と家康が組んで武田に向かうのでは、という勘違いにまで発展。ネットでも「うわー!テルマエ信玄こわいー」「怒ってますテルマエ信玄」とのツイートが続々。戦国時代だけに辺りは火種だらけだ。
第12回の平均視聴率は11・0%で微増。同時間帯ではライバルのテレビ朝日系「ポツンと一軒家」に次ぐ数字だった。連日とんでもない視聴率をたたき出していたWBCが終わり、テレビの世界にも平穏が戻ってきた。安定飛行を続けながら、戦国オールスターたちによる上昇気流を待ちたい。(NHK担当・浦本将樹)
※視聴率はビデオリサーチ調べ、関東地区