◆国際親善試合 日本1―2コロンビア(28日・ヨドコウ桜スタジアム)
元日本代表の中村憲剛氏(42)が、1―2で敗れたコロンビア戦を総括。ボランチ起用されたMF鎌田大地(26)=フランクフルト=のプレーを通じ、森保ジャパンが目指すサッカーに必要なことを提言した。
ボールを保持しながら崩すことにトライする森保ジャパンで、鎌田のボランチ起用はオプションに入ってくるか。森保監督がコロンビア戦で見たかったポイントだろう。主戦の遠藤とはプレースタイルが違い、表現できるものが異なるのは当然だが、まずはポジショニングが良かった。中間ポジションを取り、相手の三角形、四角形の中でボールを受けようとした。そして、前線にパスを差す。私の最初の感想としては「あり」だ。
こうしたサッカーを志向する時、ボランチには戦況を見る目、前を向くことが求められる。前を向ければ味方の選択肢、判断する時間、スペースをつくることができる。その一歩が、相手につかまらないところにしっかり立つこと。トップ下でも位置取りを意識している鎌田はボランチでも変わらず実行し、実際に前を向けるシーンはあった。
ここから先は、今後に期待したいポイントだ。外から見ると前を向けそうなのに、向かなかったシーンが何度かあった。コロンビアの守備の圧力はかなり強かった。球際でぶつかった時の迫力を体感すると、選手は実際に相手が来ていなくても、プレスの迫力が脳裏に残り前を向けなくなってしまうことがある。それだけ相手の守備には迫力を感じた。
そして、トップ下に入った西村はセカンドストライカーで、中盤のつくりに参加するためにサポートに下りて、ゴール前に入っていくタイプではない。2人の距離感が遠かった。鎌田、守田、西村の中盤の三角形はどういう形が最適だったかは、最後までつかみきれなかった。1秒でも迷えばつぶされる。フリーで前を向けるポジションはどこか。日本のビルドアップは徐々に後方へと追いやられてしまった。
理想は内容、結果が伴った試合を見せること。日本代表は常に勝たなければいけないことも事実だ。ただ、カタールW杯で足りなかったことに向き合い、ベスト8への壁を打ち破ろうとチャレンジしている。メンバーも入れ替わり、若返った。相手は力のあるチームだった。背景を考えれば、ウルグアイ戦も含め、この2試合は試したいことは試したといえる。できなかったことより、できたことに目を向け、チームとして積み上げを図っていってもらいたい。(元日本代表、川崎MF)