劇団民芸の主要メンバーとして、半世紀以上にわたって女優活動を続けてきた奈良岡朋子(ならおか・ともこ、本名同じ)さんが23日午後10時50分、肺炎のため都内の病院で死去した。93歳だった。29日に劇団民芸が発表した。
葬儀は26日に近親者のみで執り行った。喪主は姪で劇団民芸演出家の丹野郁弓(たんの・いくみ)氏。故人の遺志により、お別れの会等は行わないという。劇団民芸は、奈良岡さんが生前に残していたお別れのコメントを発表した。
【コメント全文】
新たな旅が始まりました。旅好きの私のことです、未知の世界への旅立ちは何やら心が弾みます。向こうへ着いたらすぐに宇野(重吉)さんを訪ねます。もう一度あの厳しい演出を受けたいと長い間願ってきました。でもね、宇野さん、私はあなたよりずっと長く生きて経験を積んできましたからね、昔のデコ(奈良岡さんの愛称)じゃないですよ。「デコ、おまえちっとましになったな」と言われたくてこれまで頑張ってきたんですから。腕が鳴ります。杉村(春子)先生とももう一度同じ舞台を踏みたかった。どんな役でもいいからご一緒したい。ワクワクします。
両親にあいさつするのは2、3本舞台をやって少し落ち着いてからにします。それからは裕ちゃん(石原裕次郎さん)や和枝さん(美空ひばりさん)と思いっきり遊びます。
これが別れではないですよ。いつかはまたお会いできますからね。
それでは一足お先に失礼します。皆さまはどうぞごゆっくり…。
奈良岡朋子