【巨人】オコエ瑠偉が激白「野球を辞めよう」からの逆襲「今こんな楽しくやっているなんて考えられなかった」

22日のオープン戦・阪神戦の5回に中前安打を放ち全力で駆け出すオコエ瑠偉
22日のオープン戦・阪神戦の5回に中前安打を放ち全力で駆け出すオコエ瑠偉

 現役ドラフトで楽天から巨人に移籍したオコエ瑠偉外野手(25)が27日、新天地で迎えるプロ8年目シーズンを前にした現在の胸中を明かした。昨季は1軍で6試合の出場に終わり、オフに戦力外通告を受けた場合は「野球を辞めよう」と覚悟を決めていたと激白。オープン戦は15試合に出場して打率3割1分と存在感を示した。31日の中日との開幕戦(東京D)に「1番・左翼」でスタメン濃厚な新戦力は、野球人生を懸けた勝負に挑もうとしている。

(取材・構成=中野 雄太)

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 これまで度重なる故障に苦しめられてきたプロ野球人生だったが、今年は3年ぶりに春季キャンプを完走。オコエは紅白戦を含めて13戦連続安打を放つなど結果を残し、原監督も「非常にいい1番(打者)ができつつある」と期待している。

 「本来はこうでなきゃいけない部分。(けがをしないという)当たり前のことを当たり前にできていなかったので。それが今回、ちゃんとできたのは良かったです。(開幕まで)あとちょっと。うまいこと合わせていければいいと思います」

 楽天に所属していた昨季は1軍でわずか6試合の出場に終わった。苦しい日々を過ごし、オフに現役を引退する覚悟を決めていた。

 「正直に言うと、野球を辞めようと思っていました。もう野球をやれないんじゃないかと思っていました。10月、11月、12月と自分で練習をしていましたけど。心境的には半分、気持ちが切れている部分はありました。間違いなく。ジャイアンツに決まってからは『来年もできるんだ!』という気持ちになりましたし、より向上心が出てきました」

 昨年12月9日の現役ドラフトで巨人への移籍が決まると、動作解析の専門家に指導を仰いで打撃フォームの修正を開始。弓矢のイメージでステップと同時に胸の前に置いてあったバットを捕手方向に少し引き、そのトップの位置から一直線にボールを捉えられるように改良した。

 「それが一番大きい。7年間ずっと(一度バットが体に)寄ってきて(ボールに対して)パンチしちゃうような感じで、パワーロスしていたので。ボールも近い距離でしか見られなくて、選球眼も課題でした。(昨年)秋のキャンプに出ていない分、取り返さなきゃいけない。負けないぞという気持ちでした」

 今春のキャンプでは、楽天時代の同僚・ウィーラー編成本部長付特別補佐兼打撃コーディネーターを始め、実績十分の主力選手たちに打撃の極意を聞き回った。

 「全員に共通する部分がありました。いいバッターには絶対インコースに投げてくるじゃないですか。じゃあ『インコースを張っているんですか?』と聞いたら『張らない』と。みんな、意識はセンターに置いているみたいで。ジャイアンツにはいい選手がたくさんいるので、いろんな人の打席を試合に出ていない時でも見て、すごく勉強になります。積極的に自分から話しかけに行って吸収します」

 崖っぷちの状況からはい上がってきた。「1番・左翼」で2019年以来4年ぶりの開幕スタメンは決定的。ついに覚醒の時を迎えようとしているオコエは、晴れ晴れとした表情で抱負を語った。

 「正直、最初は去年(1軍出場が)6試合だったので、今年は7試合を最低限の目標にしていたんです。去年の終わりからしたら、今この時期にこんな野球を楽しくやっているなんて考えられなかったので。オープン戦が良いからといって、シーズンはやってみないと分からないですけど、いい方向にいっているのは間違いないと思います。まずは、けがをしないということを第一に。めげずに、壁にぶつかっても頑張るという1年にしたいなと思います」

各球団現役ドラフト選手の現状
各球団現役ドラフト選手の現状

 ◆巨人の1番打者事情 昨季は吉川が最多の89試合、丸が34試合など計9人が務めたが、固定しきれなかった。今季はキャンプからオープン戦にかけて丸、吉川、オコエ、門脇らが1番を務め、最終的に開幕1番はオコエが決定的。

 ◆オコエ 瑠偉(おこえ・るい)1997年7月21日、東京・東村山市生まれ。25歳。小学1年で野球を始め、6年時にジャイアンツジュニアに選出。関東第一では3年夏の甲子園で同校初の4強入りに貢献し、高校ジャパンの一員としてU18W杯(日本)で準優勝。15年ドラフト1位で楽天に入団。16年オフに父の祖国ナイジェリアで野球教室を開催。妹の桃仁花(もにか)はバスケットボール女子日本代表で東京五輪銀メダル。185センチ、90キロ。右投右打。

 取材後記

つらい過去を掘り返すようで少し心苦しい部分もあったが、どうしてもオコエに聞きたかった。昨年の秋はどんな気持ちで日々を過ごしていたのか―。数秒たった後に「正直に言うと、野球を辞めようと思っていました」と明かしてくれた。

 そして、こう言葉を続けた。「最後は楽天の優しさというか。そういったもので野球を続けられることになりました」。楽天の後押しがあったからこそ、現役ドラフトで巨人に移籍でき、今がある。活躍することが古巣への恩返し。大事な原動力を知ることができた。(中野 雄太)

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