1971~72年のTBS系特撮ドラマ「帰ってきたウルトラマン」で主人公の郷秀樹を演じた、俳優の団時朗(だん・じろう、本名・村田秀雄=むらた・ひでお)さんが、今月22日午前4時14分に、肺がんのため都内の病院で亡くなった。74歳。24日に所属事務所のホームページで発表された。葬儀は後日、近親者のみで営まれる。郷隊員の悲報に歴代ウルトラマンから追悼の声が寄せられた。
「ウルトラマンシリーズ」で主演を務めた俳優が初めて天国に旅立った。
所属事務所のホームページによると、団さんは2017年夏に肺がんとの診断を受けていた。「病気になってからも、ユーモアと優しさを失わず、生きるパワーに満ち溢(あふ)れて仕事に邁(まい)進しておりました。残念ながら昨年末より悪化をたどり、力尽きました」と悼んだ。
肺がんを宣告された際、周囲に心配をかけまいと一部関係者にしか病気を公表していなかったという。病気を告げられても前向きに役者業へ没頭していたようで、「本当にヒーローのような方でした」。ただ、病魔は確実に体をむしばんでおり、入退院を繰り返していたという。
ウルトラマン関連の仕事では、放送50周年の2021年に配信での特番に出演。坂田アキ役の榊原るみ(72)、岸田文夫隊員役の西田健(77)らと共演した。出演者がここまで集まるのは番組終了後初めてのことで、旧交を温めた団さんはとても喜んでいたという。
最近はNHK BSプレミアムで昨年5月に放送された主演ドラマ「京都人の密かな愉しみ Blue 修業中 門出の桜」を同3月に撮影。9月にはウルトラマンのスーツアクター・きくち英一(80)、古谷敏(79)らと都内で朗読劇に出演していた。しかし昨年末に容体が悪化し始め、今月3日に入院。団さんは「胸が苦しい」「息がしづらい」と話していたという。
団さんは日本人の母と英国系米国人の父を持つ。端正な顔立ちで68年に資生堂のCMでデビュー。71年スタートの「帰ってきたウルトラマン」では、ハンサムながら人間味あふれるナイーブな郷を演じ切り、当たり役となった。
84年に舞台「ハムレット」でフォーティンブラスを演じて以降、活躍の場を舞台に移し、日下武史さん(享年86)主演の「Good」や、森光子さん(同92)主演の芸術座公演、森繁久彌さん(同96)座長公演に出演し、舞台俳優としての地位を確立した。確かな演技力でシリアスな役からコミカルな役まで幅広く演じ、テレビや映画でもバイプレーヤーとして活躍した。
◆団 時朗(だん・じろう、本名・村田秀雄=むらた・ひでお)1949年1月30日、京都市生まれ。68年に出演した映画「わが命の唄 艶歌」の役名「団次郎」を芸名としたが、84年に「団時朗」に改名。