源田壮亮、社会人時代の恩師が世界一に感激「根性があって、痛いかゆいは言わない選手。やると思っていた」

スポーツ報知
負傷しながらプレーした源田壮亮

 SNS上で「#源田たまらん」と評される西武・源田壮亮内野手の堅実かつ流麗なフィールディングは、世界中の注目を集めたWBCという大舞台でも披露された。しかも、1次ラウンド韓国戦の走塁で右手小指を骨折するアクシデントに見舞われながら。その活躍ぶりを自分のことのように喜んでいたのが、トヨタ自動車時代に源田を指導した乗田貴士さん(現同社社員)。球界屈指の名手が「めちゃくちゃ守備の名手でした」と師と仰ぐ人物だ。

 韓国戦後は離脱も予想されたが、本人の強い意志もあり患部をテーピングで固めて強行出場。乗田さんは「社会人の時からケガの少ない選手でしたが、今回は試合でしょうがない部分もある。私は骨折しても出ると思っていました。そのくらいの気持ちで本人も出ていたでしょうし、心構えはできていたと思います。ああ見えて根性があって、痛いかゆいは言わない選手。出てもそれなりにやると思っていました」と源田をおもんばかった。

 準々決勝のイタリア戦からスタメンに復帰すると、3つのゴロをさばいて併殺も完成させるなど普段通りのプレーをみせた。乗田さんは「彼は力を抜くのがうまい選手。ちょっと痛い方が力が抜けてよかったのかもしれません。より丁寧にやろうとなったのでは」と分析した。

 源田の守備の原点はトヨタ自動車時代にある。「グラブの出し方、打球の待ち方とかを初めて教えてもらって、めちゃくちゃうれしかった」と源田が振り返ったことがあるが、その述懐の通り、乗田さんは守備の基礎を源田に教え込んだ。「捕球の型、スローイングの型をあまり教わっていなかったので、徹底的に基本をやりました。ノックも数をこなすことで型を覚えさせて、実戦で試すということの繰り返し。股関節も硬かったので、柔軟になるようトレーニングもしました」。徹底した反復練習が今の守備の礎を築き上げた。

 捕ってから送球に移るまでの速さも源田の特長だが、加えてその正確さもずば抜けている。例えば一塁への送球。どの位置で捕っても、受け手がほとんど動かないくらいの“ストライク”送球をする。この土台を作ったのもまた社会人時代だ。「入ってきた時からスローイングは悪くなかったのですが、シュート回転する球が多かったので一塁へ送球すると届くのが遅くなる。前で投げて縦回転にするように教えました」と乗田さんはいう。

 舞台を米・マイアミのローンデポ・パークに移しての準決勝メキシコ戦。9回、トレホが打ち上げた遊撃後方への飛球を背走しながら好捕。人工芝、室内の天井など初めての球場であっても、源田は普段と変わることなくプレーした。「プロに入っていろんな経験もしたでしょうが、社会人の時も地方球場での試合が多かったので、対応力が身についていたのではないでしょうか」と乗田さんはみた。

 手塩にかけて指導した教え子が世界一の遊撃手に。「シーズンへ向けてしっかり治して、少しでも影響のないように頑張ってほしい」と優しい言葉を送った。(記者コラム・秋本 正己)

野球

個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真 法人向け紙面・写真使用申請 報知新聞150周年
×